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【千田琢哉の頭脳】Vol.0434(2010年4月13日発行のブログより)

コンサルティング会社で働いています。主に講演をするのが今の仕事になっていますが、セミナー後のアンケートの評価がなかなか上がりません。社内でもカリスマと呼ばれている講師の収録DVDを何度も観て研究をし尽くし、同僚にもロープレで実に多くのアドバイスをいただいたのですがなかなか評価が上がらずに落ち込んでいます。ひょっとして私には才能がないのでしょうか?

(福岡県・会社員・Iさん・男性・29歳)

話せるようになるためにはまず聴く力をつけることです。

講演やスピーチの練習ばかりしている人がいますが、
それだけでは限界があります。

1対1の面談中でこの人は人前で話すことができない人だな、
というのがわかります。

本人は自分にウットリしてついつい話が長くなっても
周囲にはウンザリされている人が必ずいます。

それは人が話している最中に話を遮って自分の話をしてしまう人です。

こういう人はスピーチや講演が下手です。

会議中にヒソヒソ隣の人と「それは違うよね」と言い合っている人は、
いざ当てられても何も意見の言えない人です。

講演やスピーチの上手な人は原稿を暗記して話すことはありません。

原稿の棒読みのような講演やスピーチはかなり聴く側にとっては地獄です。

講演もスピーチも先生と生徒の関係ではありません。

コミュニケーションなのです。

1対10でも1対100でもコミュニケーションなのです。

コミュニケーションで大切なのは話す力ではなくて聴く力です。

聴く力の蓄積が話す力に転換する瞬間がやってきます。

素直な心でインプットしていると、
ある瞬間にコップから水が溢れ出す瞬間がやってくるのです。

たいていの人はたいして入っていないコップの水をひっくり返して
アウトプットします。

でもそんなのはコップの水が空っぽになりますから
全部出たところでおしまいです。

溢れ出た人は永遠に注ぎ続ける人ですから、
コップの水が枯渇することはありません。

エッセイストであり実業家である浜田マキ子さんは
元日本航空の国際線キャビンアテンダントで
1990年の総選挙に夫婦で出馬されたことで有名です。

私が学生の頃に読んだ浜田マキ子さんの本で
全身に電流が走ったことがあります。

40過ぎるまではずっと聴き役で
ひたすらインプット人生だったというのです。

それがある日突然溢れるようにアウトプットできるようになったと
書かれていました。

私は「ああ、これだな」と直感で本質を教わったことを
まるで昨日のことのように鮮明に思い出すことができます。

聴講する側は目の前の話し手が人の話を聴くことができる人か否かを
一瞬で見抜きます。

講演もスピーチもコミュニケーションですから、
人の話を聴けない人の話を聞きたい人はいません。

だから教える人というのは聴いてもらえない人です。

教えてやろう、という人の話は一方通行ですから、
誰も聴きたくはないのです。

大学の講義がどうしてあんなにつまらないのかといえば
「教えてやらんかな」という姿勢で原稿を棒読みされるからです。

講義中にいつも思っていたことは、
横に布団と枕があったらとても深いノンレム睡眠ができるのにな、
ということでした。

教授たちがみんな催眠術師に思えました。

そうではなくて聴く力のある講師は聴講する人から
「気づこう」「教わろう」としています。

講演すればわかりますが、何百人の聴講者がいても空気でその反応が
手に取るようにわかりますからたくさん気づかされます。

ここで冷たい視線を浴びたりスベったりしながら
講師は成長させてもらうのです。

一流の講師家とは話が上手い人ではなくて聴く力がある人であり、
コミュニケーション力がある人です。

...千田琢哉(2010年4月13日発行の次代創造館ブログより)

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