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アンドロイド転生25
回想 2008年7月
「…happy birthday dearアオイちゃ〜ん!happy birthday to you〜!」
ニカイドウ家のリビングには12人の子供達が集まっていた。瞳を輝かせ一点に集中している。
アオイは息を吸い込んで11本の蝋燭を吹き消した。拍手が上がる。アオイの母親と家政婦がケーキを切り分ける為にキッチンに持って行った。子供達の目が追った。早く!早く!戻ってきて!と。
アオイの親友、ヒナノが手を上げた。
「では、プレゼントをあげま〜す!」
まずはヒナノからだ。アオイは包装紙を丁寧に開くと、中から出てきた手鏡に瞳を輝かせる。
早速自分の顔を映した。自分の可愛らしさを充分に理解しているアオイは鏡に向かって微笑む。直ぐにヒナノに顔を移した。ニッコリとする。
「ヒナちゃん!有難う!」
次々とプレゼントが渡され、その度にお礼の言葉を返す。最後はシュウだ。12人の中のただ1人の中学部でちょっと恥ずかしそうだ。アオイは受け取ると胸を高鳴らせて箱を開けた。
黒と白の対の子猫のぬいぐるみ。ショッピングモールで見つけて可愛いと喜んだのを覚えていてくれた…!それが1番嬉しかった。
「シュウちゃん!有難う!大事にするね!」
ケーキが配られた。歓声が上がる。席に着くと食べ始めた。子供達が無言になるのはこの時だけだ。アオイは微笑む。家政婦のマサコさんの手作りはどこよりも美味しいの。アオイの自慢だった。
ヒナノは架空のマイクをアオイに突きつけた。
「アオイちゃん、将来の夢は何ですか?」
「女優さんです」
私は可愛いし、きっと人気になると思う。心の中で付け加えた。
「ヒナちゃんは何になりたいですか?」
「お医者さんです」
「俺はね!サッカー選手!」
マモルがクリームを顔に付けながら胸を逸らした。子供達が次々と手を上げ将来の夢を語った。
「シュウちゃんは?」
「僕は薬剤師」
「シュウちゃんのお父様の会社だもんね」
アオイが代わりに自慢げに応えた。
「うん。病気で困っている人を助けたいんだ」
そう。シュウは優しいの。いつだって。本当は誕生日会だって中学部に上がったし、子供じゃないって思ってもおかしくなかったのに来てくれた。
「よし!ゲームしようぜ!」
マモルが立ち上がってコントローラを手にした。次々に子供達が立ち上がる。優勝者にはちゃんとプレゼントを用意している。
シュウに勝って欲しいけれど、きっと手加減するんだろうな。だから私が勝つんだ!
「負けないから!」
アオイはガッツポーズをした。
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