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アンドロイド転生744

白水村:リペア室

8日前。ミオを救う為に彼女のメモリを改変させて新しい身体に移植した。リョウのアイデアが功を奏しミオは警告音の責苦から解放された。勝利した。誰もがそう思っていた。

だが考えもしない事態が起こった。またウィルスが落とされたのだ。しかもタイムリミットはたったの30分間。これではとてもデリートなど不可能だ。彼女は床に座り込んで俯いていた。

ホログラムのイヴが宙空に浮いている。
『ヘブンのオリジナルウィルスはミオの変化を突き止めました。ゲンのプログラムは全くもって優秀です。私達は完敗です』

イヴは溜息をついた。
『再度ミオのメモリを改変し、新しい身体に移植をしてもまたウィルスは落とされるでしょう。残念ですが逃れられません』

リョウはギリギリと歯軋りをした。自分のアイディアでミオを救ったと喜んでいたのに僅か8日間で希望が打ち砕かれたのだ。ウィルスを作ったゲンが憎くて堪らなかった。

キリはイライラと溜息をついた。ミオのメモリを変えてコピーしたにも関わらずウィルスはミオだと…ターゲットだと判別し、ヘブンからまた落ちたのだ。悔しくて腹が立ってきた。

キリの瞳に怒りと決意が漲った。
「リョウ!やるよ!ギリギリまでやる!」
リョウも力強く頷いた。
「絶対にデリートしてやる!」

宙空にカガミソウタの立体画像が浮いた。彼の顔が強張り青褪めていた。
『イヴちゃんから連絡が来た!また落とされたんだって?俺も手伝う!』

ミオが力なく首を振った。
「キリ。リョウ。ソウタさん。もういい。直ぐに時間切れになる。ゲンは苦しめと私に言った。妹のレイラの仇を討ったのよ…」

レイラとミオはクラブ夢幻で戦い、ミオが勝利した。自意識が芽生えたゲンは同タイプのレイラに情愛があった。だからミオを許さなかった。彼は復讐を果たしたと言えよう。

キリは顔を引き締めた。
「ゲンがレイラを妹だと思うように、私達にとってあなたは大事な家族なの。助けるの…!」
ミオは顔を覆って泣き出した。

全員が一丸となって目的に向かって力を合わせた。だが相手は手強い。結局はデリートが出来ぬまま約30分後。カウントダウンがゼロになるとプログラムが解凍し発動された。 

ミオが叫んだ。
「ああ…!音がする!」
警告音。それはアンドロイドのメモリを脅かす。正常に働かせるプログラムを阻害するのだ

ミオは耳を塞いでブルブルと震えた。
「こ、怖い。ああ。怖い…」
あまりにも非道なウィルスに太刀打ちが出来ない。最早救う手立てを誰も思いつかなかった。


※ミオがレイラに勝利したシーンです


※ゲンがミオにウィルスを仕込んだシーンです


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