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アンドロイド転生250
白水村集落:アリスの部屋
アリスはアオイを伴って部屋にやってくると振り返って彼女をじっと見つめた。
「ケーブルは持っているでしょ?今度の狩の情報をあなたにダウンロードする。いい?」
「戦力外の私に?なんで?」
「兎に角見て。どうか落ち着いてね」
アオイは頸に無線ケーブルを差し込んだ。直ぐに情報が彼女のメモリに反映された。
『所在地:東京都港区南麻布1-2-1。当主:カノミドウシュウ。金品:ダイヤモンド20点。実行日:12月30日24時。当主のみ除いて家人は旅行につき不在。敷地内マップ。建物内マップ』
アオイは驚愕して目を見開く。アリスは頷いた。
「元婚約者の家ね」
アオイは呆然となった。アリスは息を吸い込む。
「さて…あなたはどうする?」
アオイは震え出した。どうするも何も…これは何かの間違いではないか?カノミドウ家で後ろ暗い事をしているなんて、有り得ない…!
「う、嘘よ!こんなの…嘘っ!!」
アリスはアオイの肩に手を置いた。
「バイヤーが間違える筈はない。これは事実だよ。でも…婚約者のシュウではなくて…他の家族がダイヤを手に入れたのかもしれないね」
アオイは震え出した。え?じゃ、じゃあ…シュウの息子?孫?孫と言えば…トウマの父親だ。会った事がある。あの穏やかそうな人が悪事を…?まさか!そんなこと…とても信じられない…!
アオイは怒りに駆られた。
「カ、カノミドウの人達は悪い事はしない!」
「落ち着いて。冷静になって。これは事実だよ。そして私達は奪いに行くよ。…アオイも行く?」
行く…?私も?狩に…?そうだ…これが事実なら狩は実行される。仲間はシュウの家に行くのだ。私は…私はどうしたらいいの…?アオイの顔が苦悩で歪む。シュウの清々しい若い顔が思い出された。
アリスはアオイの手を取り両手で包んだ。
「ね?アオイも一緒に行こう!シュウに逢おう。これは運命だよ?シュウはもう歳なんだよ。これが最後のチャンスだと思うよ」
そうだ。シュウは年齢を重ねてしまった。いつ何が起こってもおかしくない。今逢わねば金輪際、機会は生まれないだろう。アオイの胸は高鳴った。アリスはアオイの手を握ったまま力を込めた。
「もし、シュウのところへ行くなら柔術をインストールしないと無理だよ。それは覚悟して」
それはそうだろう。私だけ何もしないでシュウに逢うなんて…そんな都合の良い事は許されない。
アオイは漸く呟いた。
「ちょっと考えたいの。私…混乱してる」
アリスは何度も頷いた。
「そうだね。よく考えて。時間はあるから」
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