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アンドロイド転生235

白水村:リペア室

「どう?止んだ?」
キリは寝台に横になっているサツキの顔を覗き込んだ。ランドラボの職員に従わなかった時から警告音が鳴り続けていたのだ。サツキは頷く。

「よし。じゃあ後は禁止機構をなくすよ。それであなたは自由だよ」
傍にいたアオイが笑顔になった。
「やったね!サツキさん!もう少しだよ!」

約1時間後。晴れて自由になったサツキは寝台から起き上がり、キリに向かって深く頭を下げた。
「有難うございます」
「ホームにようこそ。これから宜しくね」

ホームの仲間になった証にサツキもオッドアイになった。茶とグリーン。アオイはサツキに鏡を見せた。似合うと言うとサツキは喜んだ。アオイは嬉しくてならなかった。今日から家族なのだ。

タカオが銃を持って繁々と見つめていた。
「…それにしてもテイザー銃とはなぁ」
アオイ達は銃を見つめた。撃たれたらどうなっていただろう…。

キリが口元を引き締めた。
「これで撃たれたら、アンドロイドは機能停止になる。CPUが焼かれたら修復は出来ないと思う。つまり死ぬって事よね」

その言葉にアオイは身震いをした。そうか。やっぱり死んでいたのか。ああ。本当に逃げ切れて良かった。アオイとサツキは顔を見合わせて深々と溜息をついた。私達は助かったのだ。

キリの従兄弟のリョウが首を傾けた。いかにもパソコンオタクという風貌で身なりに無頓着だった。
「しかしよぉ…なんでランドラボはサツキが逃亡を企ててるって分かったんだ?」

キリも疑問の顔をする。
「アオイ。エントランスに守衛アンドロイドが待ってたんだよね?」
「そうなの。私がサツキさんの元に走っていったら、直ぐに職員に待て!って言われて…」

タカオが腕を組んだ。
「まさか…密告でもあったのか?」
「密告⁈」
アオイとキリの声が裏返った。

キリが慌てた。
「いや、そんなのあり得ないよ!ほら…TEラボとは違うんだからさ?ランドラボはいつもそうやって守衛が見張っているのかもよ?」

リョウは眉根を寄せた。
「でもよ?アオイが違うラボだって事も知ってたんだろ?事前情報としか考えられないぜ?」
「そ、そっか…」

アオイも疑問だった。一体あの職員はなんで知ったの?どこから?アオイはホームの仲間達の顔を思い浮かべた。密告するなんて思えない。捕まったら自分もサツキも廃棄されていたのだ。

つまり死ぬという事だ。そんな事態に発展するような事を一体誰がするというのだ…。実はエリカが密告したのだが誰もそんな事は考えられなかった。キリは皆を見渡して愛想笑いをした。

「と、兎に角、無事に帰って来たんだから良かったよ。アオイ、サツキに色々教えてあげて。アオイはここでは先輩なんだから。ね?」
「う、うん。分かった」

立ち上がるとサツキの手を取った。
「サツキさん、仲間達に紹介する」
「はい」

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