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アンドロイド転生246

2117年12月2日

天気は快晴。タカオとアキラ、アリスがいつものように下山する体制だ。ルイは早る心を押さえて最後にブラブラと部屋から出て来た。子供のように喜んでいるとは思われたくなかった。

「ルイ!もう!ホラ!早く!」
キリに急かされて漸く歩き出した。1時間後。麓に到着して車を見た。その姿に驚く。テレビでは見て知っていたけれど、実際の車は素敵過ぎると。

車は滑らかに走り出す。2時間後。都内に入った。ルイは車窓からの景色を見てまた驚く。手入れされた樹木や花。ドーム型の白い建物群。碁盤の目のように整った街並み。静謐さを醸し出す。

それから30分後。平家カフェに到着した。広い店内は白が基調で美しかった。コーヒーの芳ばしい香りが漂う。店主がニッコリとした。
「よう!ルイ!」

初めて見る人だとルイは思う。
「赤ん坊の時に会ったぞ。大きくなったなぁ!」
「ど、ども」
ルイは頭を下げる。

タカオがルイに顔を向けた。
「ルイ!リツとアリスとショッピングモールに行ってこい。3時間で帰って来いよ!」
リツとは店主の息子でアリスの恋人だ。 

ルイは目を見開いた。まじか!ショッピングモールか!夢にまで見た場所!まさか行けるとは思わなかった。嬉しくて堪らなかった。
「いいの…?」

「ああ。ペイはリツが払う。何でも好きな者を買え。土産を忘れるな。その後は荷物の搬入だぞ」
ルイは頷く。何でもする!その後、ルイはリツ達と車で5分程の総合施設にやって来た。

巨大な建物はやはり白色のドーム型で陽光を跳ね返して眩しかった。モールに足を踏み入れた。高い天井に驚いて口を開いて見上げた。慌てて真顔になる。ダサいと思われたらどうしよう…!

それでもキョロキョロと視線が彷徨う。大勢の客がいる。こんなにも沢山の人々を見るのは初めてだった。東京の人は何かが違う。そう感じた。だがよく見ると、ルイは皆の視線を集めていた。

彼の燃えるような赤毛とシルバーの瞳。閉鎖的な集落で同族婚の末の結果だ。美しかったが東京では異質なのだ。ルイは不安になった。 
「な、なんか…俺のこと見てねぇ…?」

ダ…ダサいって思われてんのかな?やっぱり東京人じゃないってバレんのかな?タケルは最新の髪型にしてくれたのに。アリスが微笑んだ。
「ルイがカッコいいからだよ」

ほ、ほんとに?リツが笑った。
「さ。行こう。何が買いたい?」
何がと言われても困る。そう。ルイはここには何があるのか分からなかった。

1時間後。大量の服を買った。自分にも幼馴染の分も。ここには何でもあるのだと感心する。テレビで事前情報は得ていたけれど実際見るのと聞くのでは大いに違う。夢中になった。

休憩をする事になりフードコートに行った。カラフルなアイスクリームに驚いた。テーブルに着いて3段重ねを恐る恐る食べた。あまりの美味しさに感動した。隣のテーブルには同年代の少女が3人いた。

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