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アンドロイド転生262

2117年12月30日 深夜
カノミドウ邸:シュウの寝室

「アオイなんだな?」
「そう!シュウちゃん!アオイよ!」
「こんな事が起こるなんて…信じられないが…アオイか。そうか…」

アオイは更に一歩前に出て恐る恐るシュウの手を掴んだ。シュウが握り返した。
「し、信じてくれる?」
「ああ…」

アオイの胸が高鳴った。頬が紅潮し、唇が震えた。ああ、やっと…やっと言えた。
「う、嬉しいよ…。だって…シュウちゃん…輪廻転生なんて信じないって…前に言ったから…」

「ごめん、ごめんな。悪かったな」
「体調は悪くない?ビックリして具合が悪くならない?大丈夫?それが1番心配だったの」
シュウは目を細めて頷いた。

アオイはシュウの顔を見つめ続けた。ああ。老いても変わっていない。慈愛に溢れている。私はこの人をどんなにか愛しただろう。子供の時から好きだった。ずっとずっと好きだった。

アオイは声を上げて泣き出した。
「シュウちゃん…!逢いたかったよぉ。寂しかったよぉ。パパもママもミナト(弟)もいない。あなたもいない。未来で独りぽっちでマシンで。凄く凄く寂しかったの。世界は全然変わっているし、私の知っているところは全然ないし、怖かった…!」

シュウの手がゆっくりと持ち上がりアオイの頬に優しく触れて彼女の涙を拭き取った。
「逢いたかった。逢えた。これは…奇跡だ」
アオイはシュウの手に手を重ね何度も頷いた。

シュウの瞳にも涙が滲んだ。
「僕は…アンドロイドの皮膚の研究をしたんだ。自信作だと思っている。まさか、この手で君の肌に触れるとは思わなかった」

「私ビックリしたの。アンドロイドがあまりにも人間みたいで。未来って凄いなって。…シュウが研究をしたなんて凄い!凄く嬉しい…!ね?私…別人になっちゃったけど、分かってね?」
「勿論だ」

アオイの瞳から次々と涙が零れた。
「わ、私ね?あなたの曾孫のトウマ様達と友達になったんだよ。これって運命ね?だ、だからね?あなたが結婚した事も…良かったって思っているの。皆んな、とてもいい子で可愛いの」

シュウは深く頷いた。
「有難う。ユリコは良い妻だったよ。アオイを想っていても良い、想い出は色褪せないんだと言ってくれたんだ。だから結婚を決めたんだ」

「お、お亡くなりになったのね?奥様」 
「そう。6年前にね」
アオイは気持ちが沈む。妻が亡くなる年齢なのだ。シュウの命も残りは少ないかもしれない。

「身体は…元気なの?」
シュウは渋い顔をした。
「心臓がね、ちょっと弱っていてね」
「こ、こんな驚く話をして本当に大丈夫?」

シュウは胸を叩いて戯けるような顔をした。
「こんな嬉しい事はない。元気になったよ!」
アオイは笑った。初めて笑った。
「あ、有難う」

チアキが寝室に入って来た。
「アオイ。そろそろ…」
アオイは目を丸くする。え?も、もう?やっと話せたのに。これからなのに。嫌だ。帰りたくない。


※シュウがユリコと見合いをしたシーンです


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