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アンドロイド転生331
白水村:食堂
トワの仇を討つ為ならタケルの殺人も辞さない態度にアオイは恐れて口を挟んだ。
「タ、タケル。待って。そんな事をしないで…」
「止めても無駄だ。俺には出来る」
キリは溜息をついた。
「タケル。アンタには無理なんだってば」
「俺には人間の心がある。同じ人間同士なら対等だ。スオウを倒せる」
アオイは勢い良く立ち上がった。
「言わないで!」
エリカも立ち上がってアオイを突いた。
「あんたは黙ってて!」
アオイはエリカを睨んだ。2人の視線が交差した。エリカの顔が憎しみで歪んだ。
「そもそも!あんたのせいじゃない!あんたがバレたからこんな事になったんだ!」
カノミドウシュウに会いたいと言うアオイの願いを叶えるべく皆が協力したが予想外の事が起きた。アオイが彼の曾孫のトウマに知られてしまったのだ。その結果、TEラボに行き着いたのだ。
エリカの怒りは収まらない。
「トワが死んでタケルがどんな気持ちだと思うの?タケルの決意の邪魔しないで!正義面しないで!ホントにアンタってムカつく!」
アオイも負けてはいなかった。
「エリカの好きな人が罪を犯してもいいの?」
「タケルの決めた事なら従う。私も戦う!私は死んでも構わない!」
「馬鹿な事を言わないで!」
「黙れ!」
タカオが一喝した。エリカは不服そうな顔をしていたがやがてどさりと腰を下ろした。
「タケル。さっきのはどういう意味だ?」
タカオは首を傾げた。
「人間の心とかなんとか言ってたろ?」
「俺は…2040年の大震災で死んだ。人間からアンドロイドに生まれ変わったんだ」
タカオを始め、場にいる人間達が息を呑んだ。
「驚くかもしれないけど、俺だって驚いたよ。死んで目が覚めたら…一瞬で60年後だ。しかもアンドロイドだ。まぁ…男性型なのは良かったけど」
アンドロイド達はタケルが元人間だと知っているのだが人間達には自分の身の上を明かしていなかった。だがトワの復讐を決意した。打ち明けることに何の躊躇もなかった。
暫くするとキリが笑い出した。
「り、輪廻転生?って事?まさかぁ!」
タケルも笑った。
「うん。そんな…まさかな事が起きたんだ」
タケルは確かめるように何度も頷いた。
「俺には人間の心がある。だから禁止機構は働かない…と思う」
禁止機構。人間に対する絶対的な服従だ。
アオイが囁いた。
「そんな曖昧な状態で戦うなんて…ダメ」
エリカは鼻で笑った。
「あんたも元人間なのに戦わないの?」
人間達は驚いてアオイを見た。アオイは注目を浴びて萎縮する。肩を落として上目遣いになった。キリがじっとアオイを見つめた。
「え…?まさか…嘘でしょ?」
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