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アンドロイド転生923

2118年12月1日 夜
ロンドン:レストラン

リョウのプールのレッスンの後は夕食を囲んだ。乾杯する。ミアはニコニコと嬉しそうだ。
「頑張ったね。5.5m泳げるようになった」
リョウは照れて笑った。

ミアは自信有り気に親指を立てた。
「直ぐに泳げるようになるよ。リョウは覚えが早いもの。英語だって凄く上達したよ」
「相手がゆっくり話してくれるからだ」

やがて料理が運ばれた。2人は旨い食事とお喋りを堪能した。瞬く間に9時になる。そろそろお開きの時刻だ。リョウは健康的な生活の為に早寝早起きを実行しておりタイムリミットがあるのだ。

だがリョウの早寝早起き宣言は実際のところは違う。お百度参りを完遂する為に夜分にエマの屋敷をこっそりと尋ねていたからだ。エマには会わず屋敷に向かって頭を下げる為に。

ミアと遅くまで会っていたら0時を跨いでしまうと思った。完遂した今はもう9時の約束を守らなくても良いのだが、そもそも若い女性を遅くまで拘束してはならないと言う事に気が付いた。

女性に対するマナーなど何も知らなかったリョウだがwebの情報を得て彼は成長したのだ。ミアを無事に家に送り届けること。それが役目だと思っている。だがミアはまだ別れたくなかった。

「リョウ…ちょっと…いい?話があるの。近くにカフェがあるから…そっちに行きたいの」
「じゃあ…30分だけ」
「うん!」 

カフェにやって来た。テーブルの間隔が空いており、ゆったりとした店である。他の客の話し声もあまり聞こえない。ミアはこの店を下調べしていたのだ。2人はコーヒーを頼んだ。

「で…話って何?」
ミアは下唇を何度も舐めた。友人達の言葉を思い出す。リョウは鈍感だと。ハッキリと恋心を打ち明けないと分からないと。

「あ、あのさ。もうそろそろクリスマスだね。一緒に食事でも…どうかな…って思いマス」
緊張のあまり発音が狂ってしまった。
「…でも家族で過ごすんじゃないの?」

ミアは首を横に激しく振った。
「あ、あなたと…過ごしたいの」
リョウはニッコリとする。
「それは有難う」

ミアは溜息をついた。あーこの顔!全然分かってない。僕達は友達だもんねって言う表情だ。
「ねぇ…私のこと…好き?」
「え…?」

だが直ぐにリョウは頷いた。好きだ。ミアは可愛くて明るくて前向きだ。サバサバしていて一緒にいて気楽だ。優しくて元気で頭も良い。なんだ。良いところだらけじゃないか。

「うん。いつもいい子だなぁって思うよ」
「私をladyだと思う?」
「…レディ?うん。そうだね」
レディという響きはミアに合っている。

「likeとloveの違いは分かる?」
「アイラブユー位なら分かる。なんでそんな事を聞くんだ?どうしたんだ?」
ミアは呆れる。はぁ…ホントに気付かないの?

ミアは息を吸い込んだ。言え!今!
「私達。出会ったね。もう5ヶ月だね。沢山…会ったね。いつもいつもリョウはgentleだった。だ…だから…I love youなの!私!リョウに!」


※ミアが友人から煽られるシーンです


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