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アンドロイド転生233

ランドラボのエントランス

アオイとサツキは全速力で走り出した。背後にはラボの守衛アンドロイドが追って来ていた。その先を曲がればチアキが待っている。どうか!そこまで!アオイは自分を叱咤した。

チアキはアオイの戻りが遅いので不審に思い、車から降りて歩き出した。曲がり角を折れたところで勢い良く走って来たアオイとサツキにぶつかり、3人は路上に転がった。

チアキは何が何だか分からない。状況が掴めず眉間に皺を寄せながら起き上がった。
「ど…どうしたの?」
「助けて!」

直ぐに守衛アンドロイドがやって来た。3人を認めると手前にいるサツキを横手で薙ぎ払った。サツキは木の葉のように地面を舞った。チアキは危険を瞬時に察知し、防御の体制を取った。

アオイは倒れているサツキに駆け寄った。
「だ、大丈夫⁈」
サツキは頭を抱え小刻みに頷いた。
「は、はい」

2体の守衛アンドロイドとチアキが対峙している。守衛は銃を彼女に向けた。
「チアキ!テイザー銃だって!」
チアキは目を見開いた。

テイザー銃とはスタンガンの強力版で電気ショックを与えるものだ。針が身体に刺されば全身に電流が流れ、アンドロイドのCPUを焼く。それは機能停止を意味し死に等しい。

守衛の銃身がチアキを捉えている。
「降伏しなさい。さもないと撃ちます」
チアキは守衛を見据えてゆっくりと両手を上げた。だが気を抜かない。いつでも戦える。

職員がやって来た。チアキがいるのを見て驚く。
「なんだ?まだ他にいやがるのか。撃て!」
だがピストルとは違い飛距離は稼げない。せいぜい5〜8mだ。接近せねば威力を発揮出来ないのだ。

チアキが叫んだ。
「アオイ!立って!ここから離れて!」
アオイとサツキは慌てて立ち上がり後退りをして守衛から身を離した。

チアキは不敵に笑った。
「私が相手をする」
チアキは防御から攻撃の態勢に移り、一体の守衛に向かって突進した。

守衛がすかさずテイザー銃を発射する。チアキはワイヤーを避けて守衛の顔に向けて拳を打ち出した。守衛はよろけたが体制を立て直すと腕を振り回し最後に足蹴りを繰り出した。

チアキは腹に一撃を喰らい、倒れ込んだが直ぐに起き上がり反撃を始めた。チアキの回し蹴りが守衛の右手に当たり銃が手から外れ転がっていく。守衛は彼女を睨んだ。その瞳はガラス玉のようだ。

別の守衛がアオイとサツキの前を塞いで銃を向けた。撃たれたら死ぬ…!恐怖の叫び声を上げた。チアキはその守衛の前に躍り出た。腕を掴んで彼の身体を駆け上がり首周りに脚を絡め薙ぎ倒した。

倒れ込んだ守衛に馬乗りになり、顔に向かって拳を繰り出すが強靭な身体のアンドロイドにはダメージがない。もう一体の守衛がテイザー銃を拾い、チアキに狙いを定めた。

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