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アンドロイド転生745

東京都葛飾区:カガミソウタの邸宅

「ソウタ…ミオさんを助けて下さい」
「無理だよ…」
可愛いスミレの頼みだがソウタは溜息をついて首を横に振った。天才の俺様でも無力だ。

ホームのリペア室の様子が立体画像となって目の前に浮かんでいた。ミオは頭を抱え蹲っている。プログラムはタイムリミットとなり発動したのだ。また警告音が鳴っているらしい。

8日前。ミオは新しい身体にコピーされた。彼女のメモリを改変すればウィルスはミオを判別出来ず、逃れられる。リョウと同じ事をソウタも思いついていた。功を奏しミオは復活した。

だがソウタはその先の展開を予想して懸念していた。ウィルスはとことんまでミオを追うのでは…と。そう。優秀なハッカーのソウタはターゲットを必ず根絶やしにしてきたのだ。

例えば彼は18歳の時にブラジルのギャングを潰した。執拗に追い詰めたのだ。だからゲンが作ったプログラムも目的を果たすまで指令通りミオを探索するのではないかと恐れていた。

案の定予想は的中し、最悪の事態になってしまった。ソウタはホログラムのイヴを見た。
「イヴちゃんも…ホントは知ってたんだろ?ウィルスはミオを見つけるって…」

イヴはソウタをじっと見返す。
『確証のない事を言って怯えさせるのは得策ではありませんので、傍観しておりました。ソウタさんもそうでしょう?』

ソウタは溜息をついて頷いた。喜んでいるホームの仲間に余計な事は言いたくなかった。スミレは勢い良く立ち上がって2人を見回した。
「何か助ける手立てはありませんか」

2人は同時に、ないという意味合いの言葉を放った。スミレはヘナヘナと椅子に座りガックリと肩を落とした。ソウタも気落ちしていた。
「シャットダウンするしか…ないなぁ…」

スミレは不安そうな顔をする。
「いつまでですか?」
「解決策が見つかるまで…。でも…いつになる事やら…。想像もつかないよ…」

イヴは当然のような顔をした。
『もしくは機能停止ですね』
スミレはハッと息を飲む。それはアンドロイドにとって死を意味しているのだ。

スミレは顔を顰めて俯いた。
「私も同じアンドロイドです。機能停止されたらもう2度とソウタと会えません。それは非常に残念であり、辛いです。嫌です」

イヴは辛辣だった。
『ですが警告音はアンドロイドを正常に動かすプログラムを破壊するのです。いずれはミオは壊れます。どっちにしてもミオは終わりです』

ソウタは上目遣いになった。
「あのさぁ…イヴちゃんと同じメモリの存在になるってのはダメだよね?」
『残念ですがウィルスは追うでしょう』

そうなれば世の中のコンピュータに悪影響を及ぼすかもしれない。そんな危険は冒せない。
「じゃあ…あとは…本人が決める事だね…」
イヴはその通りだと言わんばかりに頷いた。


※ソウタが懸念していたシーンです


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