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アンドロイド転生801
2118年6月19日 午後2時過ぎ
東京都港区:カノミドウ邸
玄関の扉がスライドし、トウマが帰って来た。リビングで寛いでいた母親のシズカは少し驚いた。
「あら?学校は?もう終わり?」
「うん」
トウマはリュックを降ろして母親を見た。
「あー。なんか疲れた。甘いもんが欲しい」
「クッキー食べる?モネちゃんがくれたの」
「モネ?」
シズカはニッコリとした。
「お祖父様のお見舞いに来てくれたの。優しい子ねぇ…。今、会っているところ」
「見舞い…」
トウマの勘が働いた。
「もしかして…アンドロイドのサヤカも一緒か」
「サヤカじゃなくて、同じモデルだって」
トウマには確信があった。絶対にあいつだ。
トウマは足早になると曽祖父のシュウの部屋に向かった。扉をスライドする。ソファに座っていたモネが顔を上げた。目を丸くする。
「トウマ…」
トウマは眉間に皺を寄せた。
「何で来たんだ?モネが見舞いなんておかしいだろ!またあれか?生まれ変わりだとか何とか言ってサヤカが来たんだろ?」
モネは慌てて立ち上がった。サヤカの言葉を思い出す。トウマは否定的だと言うことを。
「そ、そうだけど…。いいでしょ?シュウさんは元気だし。逢わせてあげてよ。お願いだから」
トウマの表情は怒りに満ちていた。返事をせず足早に奥に行くと隣室の扉をスライドした。シュウとサヤカ(アオイ)が顔を向けた。2人は手を繋いでいる。不愉快な気持ちになった。
「何してんだよ!」
「トウマ様…」
「もう2度と来ないって言っただろ!」
「す、すみません…」
トウマは口を荒げる。
「マシンのクセに何やってんだよ!祖父ちゃんは具合が悪いんだ。何かあったらお前のせいだからな!とっとと帰れ。今直ぐに」
シュウは溜息をついた。
「トウマ。煩いぞ」
「祖父ちゃん。しっかりしてくれよ!」
「しっかりしてるさ。呆けていないさ」
モネが松葉杖を付いてやって来た。
「トウマ…。お願いだよ。邪魔しないで。15分しかないんだよ。2人にしてあげて」
「お前も生まれ変わりなんて信じてるのか?」
モネは口を曲げた。瞳に怒りが宿る。
「お前なんて言わないで。信じてるよ。信じちゃ悪い?サヤカは嘘をつかないもん。絶対に。何ならお祖父さんに聞いてみたら?」
トウマはモネの反撃に目を丸くした。シュウは楽しそうな顔をした。
「お嬢さん。そうですよ。サヤカ…本名はアオイだが…嘘はついていないんだ」
モネは頷いた。
「はい。絶対です。サヤ…アオイは元人間で生まれ変わりました。2人は婚約者だった。100年近く経って巡り合った。素敵です」
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