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アンドロイド転生151

白水村:集落

「ルーク!」
村に戻って来たタケル達の前を歩く男女に向かってトワが声を上げた。ルークと共にいた女性アンドロイドも振り返った。

「ルークだよ。こっちはタケル」
ルークは白人モデルで30歳設定。身長が高く筋肉が隆々としていた。タケルは彼を見上げた。どんな仕事に従事していたんだろう?

「ルークの前の仕事は何だと思う?」
トワはタケルの心を見透かしたように笑った。
「ファイトクラブだよ。機能停止になるまで戦うんだ。人間の道楽の為にさ」

トワは世の中の影の部分を皮肉って嘲笑うかのようだった。タケルは何と声を掛ければ良いのか分からなかった。ルークは微笑んだ。整った顔立ちは魅力的でハリウッド映画の俳優のようだ。

「こっちはミオ。前はストリッパーだよ。勿論、クソヤローの相手もするんだ。それだけじゃない動物ともヤルんだよな?それを見て人間は喜ぶんだ。イカれてるぜ」

「トワ、余計な事は言わないで」
ミオが咎めた。タケルは暗い気持ちになった。ミオは汚れを知らぬ少女のようだ。14歳位に見える。人間はこんな子供モデルに欲情するのか?

トワにしろルークもミオも生まれた時からアンダーグラウンドで生きて来たのか。人間の飽くなき欲望の駒として。美容師として歩んだタケルとは違った生を送ってきたのだ。

自分の暮らしは天国だった。タケルは派遣先の主人のシライシに呆気なく捨てられて、少しだけ恨んだ気持ちもあったが甘かったなと思う。世界は自分の知らぬ事が大いにあるのだ。

「宜しくな。タケル」
ルークが手を差し出した。
「うん。宜しく」
握手を交わす。タケルよりも2回りも大きかった。

チアキがやって来た。彼女の前の仕事は何だったのだろう?また影があるのだろうか。
「トワ。タケルの身体を捨てて来たの?」
「うん。今回もバッチリ」

トワはタケルを見やった。
「チアキの前職は何だと思う?保母だよ」
「そう。子供は可愛かったな」
チアキは笑った。

何だか明るくてタケルはホッとした。それが何で今はホームにいるんだろう?自分のように逃げ出したのか?トワがニヤリとする。
「まぁ、後で教えるよ」

そんなに分かりやすい表情をしているのかと恥ずかしくなった。だがそんな些細な顔の違いをアンドロイドでありながらもトワは読み取るのだ。感心する思いだった。

「チアキ。タケル様は天国にいたから色んなことを知らないんだ。底辺を教えてやろうぜ」
トワの物言いにタケルは腹が立った。生前の俺の暮らしを何も知らねぇくせに…!

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