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アンドロイド転生249

新宿区:平家カフェ

アリスはターゲットの情報を得た。
『当主:カノミドウシュウ。当主のみ除いて家人は旅行につき不在』
アリスはリツの母親を2階に呼んだ。

母親は不思議そうな顔をする。
「何か問題でもあった?」
「今回のターゲットなんですが…家人は旅行だけど当主は残るのですね?」

「そう。高齢だから留守番になるみたい。老人1人なら大丈夫でしょ?何かあるの?」
「実は…仲間と縁故のある家なんです」 
「まぁ…そうなの。でも、狩は出来るわね?」

アリスは頷く。アオイの知り合いだからと言って取りやめる事はないだろう。母親は満足げに微笑んでアリスの肩を叩くと階下に戻って行った。アリスは1人残ってつらつらと考える。

アオイに言おう。内緒にしておきたくない。元婚約者が夜襲のターゲットだと知ればアオイの心は穏やかではないだろう。どうか冷静でいてほしい。アリスも階下に降りた。

ホームに帰る時刻になった。店主や妻。リツと別れの挨拶をした。ルイはペコペコと頭を下げた。
「気をつけて帰れよ」
「じゃあ、また来月な」

アリスはチラリとルイを見た。来月という言葉にルイが反応している。また来たいのだろう。あんなに喜んでいたのだ。私だってリツとの再会はいつも嬉しい。今日だって楽しかった。

一同が集落に戻って来ると、村は雪がうっすらと積もっていた。これから厳しい季節になる。雪のない都会とは違うのだ。それでもホームの人々は慣れた様子で子供などは元気に薄着だ。

タカオ達は大荷物を背から下ろした。服や雑貨、薬品、日用品、菓子、オモチャなどだ。ルイがショッピングモールで買った大量の服は若者達が取り合いになった。少年らはルイを囲んで目を輝かせた。

「なぁ?東京はどうだった?」
「すげ〜オモロかった!」
「可愛い子はいた?」
「すげ〜たくさんいた!」

アリスは微笑む。少年達の話は尽きないだろう。さてと…とアオイを探した。遊具室で幼児達にオヤツを与えていた。スプーンで掬って子供の口に運んでいる。アオイの瞳は慈愛に満ちていた。

アリスはアオイの前にやって来た。
「ねぇ?ちょっとイイ?話があるの」
サツキが間に入って微笑んだ。
「私がしますから、どうぞ行って下さい」

アオイは頷くと立ち上がった。
「大事な話なの。私の部屋に来てくれる?」
アリスの神妙な様子にアオイは怪訝な顔をした。
「う、うん…」

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