見出し画像

アンドロイド転生266

深夜 カノミドウ邸

チアキとケイが去りアオイはシュウの寝室に1人残された。タケルが怒ってやって来るかとも思ったが姿を現さなかった。今になって身体が震えてきた。ごめんなさい。勝手をして本当にごめんなさい。

振り返ってベッドにいるシュウを見る。痩せてしまった身体はパジャマの中で泳いでいるようだ。顔色もあまり良くない。
「…本当に大丈夫…?」

トウマが怒りを顕にした。
「祖父ちゃんは身体が良くないんだ!オマエ!サヤカ(アオイ)!何しに来たんだ?」
「トウマ様…」

シュウはトウマに向かって微笑んだ。
「まぁまぁ。そう、怒るな。僕は大丈夫だ」
シュウは手を上げてアオイを呼んだ。アオイは慌ててベッドに行くとシュウの手に手を重ねた。

トウマは眉間に皺を寄せた。
「祖父ちゃん、警察に届けるよ」
「やめろと言ってるだろう?」
「マナミ達がぶっ倒れてんだ!おかしいだろ!」

「大きな声を出すな。骨に響くぞ」
「関係ないだろ」
「スノーボードで折ったんだ。なぁ?トウマ。だから旅行に行くのもやめたんだよな」

シュウはトウマの右足のギブスを指してアオイを見て笑った。トウマは黙り込んで顔を背けた。アオイはトウマを見た。彼を見たのは7年前の16歳の時が最後だった。すっかり大人の雰囲気だ。

シュウと婚約した頃の彼の面影を宿している。なんてそっくりなんだろう。ごめんなさいと言ってアオイは頭を下げたがトウマはアオイを見ようともせず憮然とした表情だ。

シュウは微笑んだ。
「彼女と僕は昔の知り合いなんだ。とても大事な人なんだよ。だから警察に通報しないでくれ。まだ話がしたいんだ。2人にしてくれるか?」

トウマは暫く無言で思案していた。
「…警察には連絡をしない。その代わり2人にはしない。俺の目の前で話してよ」
曾孫として家族の身体が心配なのだ。

シュウは大袈裟に溜息をついた。
「困ったなぁ。そんな取引をするなんて。まぁ仕方がない。アオイ…それでも良いか?」
「うん」

アオイは頷いた。トウマがいたって構わない。どうせ、何を話したって意味は分からないだろう。アオイはシュウの手を撫でた。トウマは壁に背をつけ腕を組みアオイを睨んだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?