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-Vol.04-プロ野球選手の趣味と特技①~趣味特技 18,228個 の回答を解析! <32年分の選手名鑑から平成とプロ野球選手を読み解く>

筆者が一年一年購入してきた『日刊スポーツプロ野球選手写真名鑑』32年分、32冊から、様々なデータを解析、紹介するnoteのVol.04。

今回はプロ野球選手の“趣味・特技”について記述していきたいと思う。
選手名鑑を読み込んでいると、選手の趣味とか特技まで覚えてしまう。
そんな時代があった。
プロ野球選手写真名鑑の醍醐味であった、多種多様なプロ野球選手の”趣味・特技”を読み解くことで、平成のプロ野球選手、平成という時代を振り返っていきたい。

なお本記事において断りなく“選手名鑑”と記述しているものは、一般名称としてのプロ野球選手の選手名鑑を指し、“プロ野球選手写真名鑑”と記述しているものは、私の大好きな『日刊スポーツ選手写真名鑑』のことを指すように記述している。そんなに意識せずとも読み進められるとは思うがご承知いただきたい。

いったい何故筆者はこんなnoteを書いているのか、疑問に思う方もいると思う。そのような方は是非自己紹介を見てほしい

○プロ野球写真選手名鑑には、2003年(平成15年)までプロ野球選手の“趣味・特技”が掲載されていた

2003年(平成15年)までプロ野球選手写真名鑑の選手情報には、各選手の“趣味・特技”の掲載があった。

平成年間で最初に大きな選手情報の掲載内容の変更があった1991年(平成3年)より前は、“趣味”と“特技”で別々の項目が与えられていたが、1991年(平成3年)からは、“趣味・特技”と一つの項目にまとめられた。

プロ野球選手の幅広い“趣味・特技”が掲載されており、プロ野球選手写真名鑑を読む上での楽しみの一つであったが、2003年(平成15年)を最後に、選手情報から“趣味・特技”の項目は消えてしまった。

2020年(令和2年)現在、趣味・特技の掲載がある他の選手名鑑はある
ただ私のコレクションからは消えてしまったのだ。

よって今回紹介するデータは、1989年(平成元年)~2003年(平成15年)の15年間で、プロ野球選手写真名鑑に掲載されていた日本人選手に関してである。
その数は1,862人。“趣味・特技”の総回答数は18,228個にのぼる。

本記事では、これらを解析して、プロ野球選手はどのような“趣味・特技”を持っていたのか、時代と共に“趣味・特技”の変化があったのか、プロ野球選手がプロ野球に入って新たに始める“趣味・特技”は何なのか、などを調べたので記述する。

なお、本当は、このnoteでは、「日刊スポーツプロ野球選手写真名鑑」の内容しかまとめたくなかったのだが、どうしても2020年(令和2年)の状況が知りたかったので、2020年(令和2年)の他の選手名鑑の情報から、現在のプロ野球選手の"趣味・特技"についてもまとめている。そちらについては、別の記事で紹介する予定であるので、是非そちらもお楽しみいただきたい。

○各年でのプロ野球選手の“趣味・特技”の回答数と回答率

プロ野球選手写真名鑑では、選手の情報について必ず各項目の記載(回答)がある訳ではない。

選手によっては空欄の項目もある。

その中で“趣味・特技”は回答率が高い項目であった。

下記表が1989年(平成元年)~2003年(平成15年)の掲載選手数と“趣味・特技”の回答選手数、回答率である。

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掲載が終わる6年程前から徐々に回答率が減っているが、それまではほぼすべての選手が回答している。なぜ徐々に未回答が増えていったのかは不明であるが、皆それなりに気軽に回答していた事がわかる。

○プロ野球選手の“趣味・特技”の数

皆さんも何かしらの自己紹介で、自分の趣味や特技を紹介する事があるだろう。よく聞かれる事でもあるので、いくつか決めている回答を持っている人も多いだろう。

では、そのバリエーションはどのくらいあるだろうか?

プロ野球選手写真名鑑での“趣味・特技”の項目では複数回答する選手もたくさんいる。特に平成年間で1989年(平成元年)と1990年(平成2年)は“趣味”と“特技”の項目が別れていたので、それぞれ回答する選手が多くいた。

下記の表が1989年(平成元年)~2003年(平成15年)の“趣味・特技”の回答数別の選手の数である。

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このように最大5つの“趣味・特技”を回答する選手もいた。

これらの複数回答もそれぞれ1つとして考えて、掲載されている“趣味・特技”をカウントしていくと、15年間で18,228個もの数になる。

○プロ野球選手の“趣味・特技”の回答の内容とランキング

一般的に、人の趣味や特技はそうそう毎年変化するものでは無いだろう。プロ野球選手写真名鑑を見ると、プロ野球選手も多分に漏れず毎年同じ回答をする選手も多い

ただ人によって趣味や特技は多岐に渡る。

掲載された回答は、そのままでは全くまとまらない。
よって、回答を同じような分野でまとめてから解析することとした。

15年間の間にプロ野球選手写真名鑑に掲載された日本人選手1,862人の回答、延べ15年間で全18,228の回答を、筆者独自の89の分野に分けた
その分野ごとに回答数をカウントしていき、回答総数のランキングを作成した。

また15年間の回答総数のみであると、特異な“趣味・特技”でも一人の選手が回答し続けていると回答数が増えていくため、回答人数(15年間で、1度でもその回答をした選手の数)もカウントし、ランキングを作成した。この割合は「プロ野球選手のうち、その趣味・特技を持つ人の割合」の意味を持つ。

その分野ごとの、回答総数、回答人数を、数が多い順に並べたものが、下記の表である。

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○トップ・オブ・“趣味・特技”は…。全年度で回答数トップの完全勝利

上記の表のように回答人数、回答総数ともに“音楽鑑賞”が断トツのトップである。

平成年間前半にプロ野球選手写真名鑑に掲載されたプロ野球選手の、実に40%が“音楽鑑賞”を“趣味・特技”としてあげた、という結果だ。

“音楽鑑賞”は、趣味か特技か、どちらかと言えば趣味になる。
そしてとても気軽な趣味だ。少しくらいでも音楽を聴いている人はゴマンといる。この気軽さがこの結果を生んでいると考えられる。
また、プロ野球選手は比較的若い。その若さで“趣味・特技”を聞かれても、回答が難しい。
そうなると回答は「音楽鑑賞」となるのも頷ける気がする。

とはいえ、平成初期はJ-POPが盛り上がり、音楽CDが売れに売れた時期である。それにより今より音楽は身近だった。その影響も多少はあるだろう。

なお各年度ごとにランキングを見てみても、全ての年度で“音楽鑑賞”はトップである
各年度ごとの”趣味・特技”の回答総数のトップ10を下記表に示す。

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このように”音楽鑑賞”は15年間に渡りトップを維持している完全勝利のトップ・オブ・趣味特技なのである・

“音楽鑑賞”の分野には、単に「音楽鑑賞」という回答に加えて、平成初期の「レコード鑑賞」という回答や、ロックやジャズなど分野を指定した回答、歌手の名前を指定した回答、などがひとまとめにしている。
これらの詳細も興味深いため、別の記事でまとめたい。

○プロ野球選手の“趣味・特技”としてのスポーツ

“趣味・特技”の回答の中では、「サッカー」や「バレーボール」というようなスポーツの具体名や、「球技全般」や「スポーツならなんでも」というようなスポーツ万能アピールなど、スポーツに関連する回答も多かった

これら、前者は“野球以外のスポーツ”と分類し、後者は“スポーツ全般”として分類してカウントした。
なお以後触れるが、スポーツを「見る」ことについては“スポーツ観戦”として別に分類している。

“野球以外のスポーツ”“スポーツ全般”は、ニュアンスとしては難しいのだが、“野球以外のスポーツ”については、趣味と特技の両方の意味合いが含まれていて、“スポーツ全般”については、特技といえる内容が多かった。
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すべての“趣味・特技”の回答総数の中で第2位となったのが、この“野球以外のスポーツ”である。

上の表の各年度ごとの回答総数のトップ10を見ても若干下がることはあったが常にトップクラスである。
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そして、この“野球以外のスポーツ”と常に2位争いをしながら、上位に居続けたのが、回答総数の第3位が“ゴルフ”。

「ゴルフも野球以外のスポーツじゃないか」

と思われるであろうが、他のスポーツに比べて圧倒的に回答数が多いため、別の分野としている。やはりゴルフは大人の趣味としては王道だ。
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「スポーツなら何でも得意だよ」という“スポーツ全般”も全年度を通しての回答総数の順位としては12位。プロ野球選手は恐らく運動神経の塊である。学生時代、体育の授業で”無双”していた姿が思い浮かぶ。
自由記述のプロフィール欄にも、野球以外のスポーツで県大会何位だった、というような他のスポーツでの活躍もよく掲載されていた。
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スポーツに関しては趣味としての“スポーツ観戦”をあげる回答も多い。これも10位にランキングされている。「Jリーグ観戦」や「NBA観戦」など具体的なものもこれに含まれる。
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このようにプロ野球選手はやはりスポーツが好きで得意なのだ。

前述のように、これらスポーツに関する回答は、具体的なスポーツ名をあげている場合が多い。「サッカー」から「腕相撲」まで、という感じだろうか。
この詳細も別でまとめているので、別の記事で紹介したい。

○趣味はアウトドア(≒釣り)

年度ごとの回答総数の順位で目立つのが、“アウトドア”という回答が1990年代後半から順位が急上昇している点だ。
全年度での回答総数ランキングでも第9位にランクインされている。

この分野は「釣り」に関する回答が大部分を占める。単に「釣り」という回答に加え、「海釣り」「バスフィッシング」というような回答だ。
実は、1990年代、つまり平成初期は、釣りやキャンプなどのアウトドアブームがあった。

下記は、2015年のマイナビニュースの記事の抜粋である
https://news.mynavi.jp/article/20151007-fishing/

1990年代、空前のアウトドアブームが起こりました。それと同時に人気を博したのがルアーフィッシングやフライフィッシングといったゲームフィッシングです。特にルアーを使ったバスフィッシングは、タレントの木村拓哉さんや俳優の反町隆史さんが趣味にしていたこともあり、その人気に爆発的に火が付きました。このブームが釣り人口の増加を後押ししたのは確かです。

このように1990年代は釣りブームが来た。
プロ野球選手の“趣味・特技”にも、それが見てとれる、ということだ。

ちなみに筆者は1990年代は小中学生。
確かに、周辺では、じゃらじゃらとルアーをたくさん持っている友達が何人かはいた。
筆者も「川の主釣り」「海の主釣り」という釣りゲームにはまっていた気がする。

今は釣りブームも下火らしい。
そろそろ一周してブームが回ってきても良い気もする。

○プロ野球選手となって新たに始める趣味

“趣味・特技”の回答総数、回答人数ともに第4位なのはは“車関連”である。

車関連”には「ドライブ」「車いじり」「洗車」「自動車整備」などの回答が分類されている。
趣味とも特技とも言える内容だ。

今回、“趣味・特技”の回答について、掲載2年目以降の選手の回答の中で、前年には回答されなかった“趣味・特技”を集計した。
つまりプロ野球選手となってから始めた“趣味・特技”についてである。

その各年度の分野、回答数を下記の表に示す。

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“車関連”は、常にランクインしており、特に平成初頭はトップクラスに位置しており、年度でトップとなることもあった。

平成前半、やはり車は青年達の憧れであった。

車の雑誌もたくさんあって、それを眺めているだけでも楽しかった、という話は良く聞く。
今でも文化は残っているだろうが、車の構造も簡単だったため、車の改造なんてものも楽しめた。

今はカーシェアリングも普及している時代。
「車好き」という言葉も無くなっていくのだろうか。

「若者の車離れ」と言われて久しいが、

「大人になったら車を買う」

そんな常識が平成前半にはあったのだ。

なおこの“新しい趣味・特技”の15年間の回答総数のトップは“ゴルフ”である。社会人になってゴルフを始めて、ゴルフにハマる。

普通のサラリーマンもプロ野球選手も基本的には変わらないということだ。

○プロ野球選手とギャンブル

ここで表がかなり上に行ってしまったので、改めて日本人プロ野球選手の15年間の“趣味・特技”の回答総数及び回答人数のトップ20の表を下記に再掲する。

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“趣味・特技”としてギャンブル系の回答をあげる選手も多かった。回答人数として第6位である。

“ギャンブル系”の分野は、多くが「パチンコ」で、一部「パチスロ」「競馬」など、が含まれている
「麻雀」
については色々とご意見あろうかと思うが、“ギャンブル”ではなく“麻雀”として分類した。“麻雀 ”17位にランクインである。

“ギャンブル”も“新しく始める趣味・特技”のランキングでは、常に上位に入ってきており、社会人になって覚える“趣味・特技”と言える。

○「ファミコン」と「テレビゲーム」

少し順位を下げて、第11位"ゲーム"である。

この分野は稀に「UNO」のような回答も分類しているが、基本的には「テレビゲーム」である。

そして、この“趣味・特技”の項目の「テレビゲーム」という回答には、少し面白い現象が1996年(平成8年)にあった。

それは、前年までは「ファミコン」という回答だったものが、この年からすべて回答が「テレビゲーム」に変わったのだ。
もちろん選手が回答を変えたのではなく、編集上変えたと推測される。

ファミコンが世に発売されたのは1983年(昭和58年)であり、スーパーファミコン1990年(平成2年)、そして、初代PlayStation1994年(平成6年)である。

筆者(1983年(昭和58年)生まれ)世代がギリギリ、初代ファミコンでそれなりに遊んだ世代であろうか。

筆者の思い出話をすれば、筆者の家では、初代PlayStationは発売日にどうにかこうにか買ってもらった。発売日を心待ちにさせる「イチ、ニッ、サン」のテレビCMが懐かしい。

電車好きの筆者は、「A列車で行こうIV」にどハマりし、PlayStationばかりやっていた。

長時間PlayStationをやっていると、
母親からは

「ファミコンばっかりやってるんじゃないわよ!」

と言われ、筆者は

「ファミコンじゃねーよ!」

と返す。

・・・そんな思い出だ。

話を戻すと、1996年(平成8年)に“趣味・特技”の回答が「ファミコン」から「テレビゲーム」に変わった話。

なぜ変わったのか推測すると、この頃までは、世の中では、筆者の母と同じように、テレビゲーム=ファミコンだったのだろう。
それが初代PlayStationが出て来て、やっとテレビゲーム=ファミコンでは無いという風潮が広まって、プロ野球選手写真名鑑も回答に「テレビゲーム」と記載することにしたのではないだろうか。
そう考える年代的にも合点がいく。

ひょっとしたら前年に選手からも

「ファミコンじゃねーよ!」

と苦情が来たのかもしれないが。

くだらないが、平成初期の時代背景である。

○プロ野球選手の“趣味・特技”ランキング上位の解説

“趣味・特技”の回答総数、回答人数のランキングの上位にある分野について少し解説を入れたい。

・“音楽演奏、歌う”

この分野は多くが「カラオケ」という回答が占める。その他では「ギター演奏」「ピアノ演奏」などが含まれている。

・“読書”

これは正に趣味としての読書である。「推理小説」「スポーツ関係」などジャンルを選択した回答も多くある。

・“映画鑑賞・ビデオ・DVD鑑賞”

この分野はやはり「映画鑑賞」という回答が多く占める。「邦画」「アクションもの」などのジャンルに対するこだわりの回答もあった。

〇”趣味・特技の回答総数、回答人数の全ランキング

最後に、下記に、日本人プロ野球選手の15年間の“趣味・特技”の回答総数及び回答人数の全ランキングを示す。
プロ野球選手写真名鑑には多種多様な“趣味・特技”が掲載されていたことを実感して頂ければと思う。

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