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アツくて面白い農業。

5月中旬から最近まで、尊敬する島唄の先輩であるトマト、パッションフルーツ(以下パッション)農家さんのRさんのもとで、お手伝いさせていただいていた。これまでも知り合いの方の農園や、wwoofを通じて農業のお手伝いをしたことはあったが、アルバイト代をいただいて、ちゃんと働くことは初めてだった。1ヶ月の間で、驚いたこと、感動したことが多々あったので、つらつらと綴っていこうと思う。

お世話になった農園は、肥料をあまり使わず、土にとって栄養のある雑草をたくさん生やしており、土作りにこだわりがある。必要以上に草刈りをしたり、もちろん、除草剤を使ったりしない。自然のパワーで、美味しいものを作っている。土が良いと、農作物も健康なので、農薬も使わない。すると、味が良い。あとから知ったのだが、Rさんのトマトは島内でも有名で、すぐに売り切れるため、なかなかお目見えできないという。友人宅へお裾分けすると、そのお母さんが、「味が濃い!昔のトマトの味がするね」とびっくりしていた。実際そうなのだ。ツヤツヤで、粒が大きく、真っ赤で、宝石のように光っている。紛れもなく、今まで食べてきた中で一番美味しいトマトだった。これまでよく食べていたスーパーのトマトが、最近あまり美味しく感じなくて、困っているぐらいだ。

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農薬不使用と聞くと、不揃いの作物が増え、出荷するときに値段が下がってしまうイメージがあるが、ここは違う。ビニールハウスの中のトマトやパッションは、どれも美人でツヤツヤ、一軍のスタメンである。ジャムやジュースなどの加工品になるものは一切なく、パッションに関して言えば、ほぼ全て、果物そのままの形で島外に送られる。ハウス内は、虫もそこまで多くなく、こちらに危害を与えてくるような虫はほぼいない。病気になっているトマトやパッションはない。それも、健康な土があってこそ。虫を発生させるような堆肥を使わずに、出来るだけ自然に近い環境で育てることが、美味しい農作物の秘訣なのだそうだ。

そして、感動したのは、Rさんの愛情を持って作物を育てる姿。無理に農地を広げようとせず、比較的小規模で、手入れが行き届いている。パッションは熟すと実が自然と落下するため、下にネットを張り、落ちたものを拾っていくスタイルの農家さんも多いらしい。しかしRさんは、大きい実から順に、紐で括り付け、小玉のものは洗濯バサミで一つ一つ挟んで、実が落ちるのを防ぐ。何万個もあるため、骨が折れる作業である。実際に、ほかの農家さんからは「どうしてこんなに面倒なことをやっているんだ」「下にネットを張れば、楽ではないか」などと言われることもあるそうだ。しかしRさんの考え方は違う。「人それぞれ、面倒くさいことは違う。自分にとっては、これは面倒なことではない。一つ一つ、実や葉っぱに触ることで、状態が分かるし、病気になっていた場合の発見も早い。自分にとっては、効率のいい作業だ」と。なるほど。これって、農業だけじゃなく、いろんなことにも通じる考え方だよね。

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兎にも角にも、たったの1ヶ月弱のお手伝いだったが、毎日が発見と驚きの連続で、面白かった。片道50分の運転も、苦になるどころか、むしろワクワクした。お昼寝付きのランチ休憩以外にも、10時と15時のお茶休憩時は、Rさんの農業に対する熱い想いや知識を聞き、これまで以上に「食」への興味を深めることとなった。実家用にも2kg購入し、明日ごろには届く予定だ。送ることは、家族には秘密である。驚くだろうか。Rさんが心を込めて育てたパッションフルーツを、喜んでくれたら嬉しい。

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