かけおちガール

すごいマンガを読んでしまった。

1巻無料で読んだら全巻買ってしまった。4巻までなので買いやすいです。タイトルに「?」となったけれども表紙がかわいいので読んでみました。3巻の表紙が特に素敵です。気になったら内容をググる前に先入観なしで読んでみてほしいなと思います。先入観があっても多分このマンガの良さは感じられるかなとは思いますが。絵柄がOKな方はよんでみてほしい。

絵がかわいい

まずもう、絵がかわいい。手塚治虫の女性キャラの艶めかしさ、陸奥A子の描くふんわり爽やか感、岡崎京子の少し醒めたような明日がくるかこないかはどうでもいいような感じのキャラ、各年代の魅力的な女性キャラのいいとこ取りをしたような絵柄です。作中にキラキラ輝く描写がよく出るのですが、それが本当にきらきらして見えます。原画見てみたい。

独特の柔らかさと鋭さが。

なにか引っかかりがあった時に笑ってごまかしてしまうみどりの、ごまかしているときの笑い方と本当に楽しいときの笑い方、多分ほんの少しの違いなんでしょうが、ごまかし笑いの笑顔はみていて心がキュッとなります。

多数派に合わせなきゃ

って思ってなんとなく色んなことに蓋をしてやり過ごしている日々、誰しも覚えがあるかなと思います。例えば好きなアイドルとか。みんなの興味が他に移ってしまっていく中なんとなく好きと言えなくなり、好きなわけではないと自分に言い聞かせるようになり。それはそれで、まあまあ楽しいのですが所々違和感を覚える。そしてそこを追求してしまえば、やり過ごしながらどうにかやっていけている「多数派の日々」が壊れてしまうんじゃないかなという不安。

そんな時に笑ってごまかす。

気にならないふりをして。

「好き」がある世界は美しい

けれども「好き」に蓋をすることは自分に蓋をしている事で、息苦しさは募り、密封された何かはグズグズに腐っていく。

大体は、私なんかもそうなんですが、年齢を重ねることによって好き勝手できるようになってゆくので、幾らかの期間をそうやり過ごすことで生きやすくなる場合が多い。が、それが加齢で解決できるような事柄ではない場合はどうなんだろう。想像すると胸が詰まる。

一番好きな人と一緒にいると
こんなに世界がきれいなんだねぇ

それは必ずしも「人」に限らず物でもいえることで、好きな事を心に置いて見る世界は美しい。そんな事を考えながら読みました。


こちらの漫画は葛藤を強く描いてカタルシスが!っていう感じではないのですが、そっと大事な宝物を見せてもらったような、こっそり好きなものを教えてもらったようなそんな気持ちになれるマンガです。登場人物全員が根っからの悪人という人がいなくて、少しずつズルくて弱い。傷つけたり戸惑いながらお互いに認めあってゆくお話は、今の若者のリアルでの強さにもにてるなと思いました。昔の漫画ならもうちょっと絶望的に描かれていた内容ではないかなと。その辺も読んでいてほっとするというか、ああ、よかったと思えました。

誰かの「好き」も自分の「好き」もどちらも大事にしてゆきたいものです。




Twitterで検索したらバズってたんですね。でも、予備知識なしで、先入観なしでそっと読んでみてほしいなと思います。あらすじ読んでいたら読まなかったかもしれない。先入観なしで読めて良かったな。

素晴らしいまんがです。

来年またなにかやれたらいいな