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溶ける

#記憶

それは夏の雲みたいに、かき氷みたいに、少し目を離したら崩れて溶けていってしまうから、そこにあったことをなんとか証明したくてここに残している。

なぜ音楽という生まれた瞬間に消えていってしまうような不安定もので自分を立たせておこうなんて思うのか、さっぱりわからないけれど、その瞬間たしかに自分はそこに居て、しかもなんだか必要な存在にすら思えてくる。不思議。

だから音が消えてしまったあと、どうしようもなく孤独を感じる。世界から切り取られてしまったみたいに、あるいは宇宙に放り出されたみたいに。ただそれは単なる寂しいとかの感情じゃなくて、もっともっと織り重なったもので、だから少し心地良くもあって、へんなかんじ。

相手に向けて、と、自分へ向けて、ふたつの音楽があって、今夜は後者だった。人との繋がりや温もりに傷を癒してもらうことはあっても、最後に自分の心を守れるのは自分なのだ。誰かの手を借りて立ち上がったあとは、その足で歩かなければならない。

外で虫が鳴き始めた。嵐が通り過ぎたのだなぁ。

いつからか、ずっと、うまく眠れない。



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