鼠径ヘルニア(脱腸)と股関節
概要
両股関節内旋の鼠径ヘルニアの方のひとつの典型的パターンについて、書いています。
脚長差を縮める事で改善される鼠径ヘルニア
心身の土台である股関節から骨盤を整える事で、鼠径ヘルニアの症状は改善させることができます。
適応症(ある薬や療法によって、その治療の効果が期待できる病気や症状)という言葉がありますが、鼠径ヘルニアは正に股関節矯正の適応症と言えるでしょう。実は、股関節矯正は身体のゆがみの元から正す根本療法であるが故に、あらゆる疾患は股関節矯正の適応症と言えるのです。
しかし、鼠径ヘルニアは股関節痛と同様に、股関節の過度の転位(角度異常)によって起きていて、股関節の矯正が患部の状態にダイレクトに作用します。
つまり、股関節の転位は脚長差(どちらかの足が長い状態)を生むのですが、始めは脚長差の増減によって鼠径ヘルニアの症状は悪化もすれば改善もされ、単純な股関節のタイプの場合は脚長差が縮まればそれだけで改善が期待できますが、複合的(両股関節内旋等)な股関節タイプだと、改善から消失にいたる道筋は、両側にでた股関節痛を癒す時のように微妙な左右の均衡をとりながらの、あくまでも深い脚長差の矯正力にかかってきます。
鼠径ヘルニアは、両股関節が内旋した人に多い実証を得る
以前に、『鼠径ヘルニアと整体』と題して、鼠径ヘルニアになりやすいのは内臓諸機能の悪化しやすい左足が長い人、腹圧が高くなりやすい両股関節内旋(内ねじれ)の人が多いという推察の記事を書きましたが、その後しばらく検索で上位に上がっていたため、鼠径ヘルニアの方が幾人かいらっしゃり、更なる知見を得ることができました。こちらは開始以来女性専用で、男性の方に多く発症する鼠径ヘルニアの方の症例が殆どなかったのです。
推察した通り、左足が長い両股関節が内旋したタイプの人が多く、左足が長い人が8割、両股関節内旋が8割〔日本人の平均としてこの左足が長い人8割は少し多い位ですが、両股関節内旋8割というのは確かに多いと言えます〕といった所でした。
中には、右脚が長い人もいましたし、単純系(内旋と外旋)の方もいましたので、両股関節外旋の方もいらっしゃると思います。実際の所、骨盤の後傾も腹圧は高まると思われますが、ここでは、両股関節内旋の鼠径ヘルニアの方について書きたいと思います。
各股関節タイプの特徴
はじめは短い脚の側に出やすい鼠径ヘルニア
脚長差がある事で身体が歪むと、大抵の症状は、重心をかけて立つ為血流やエネルギーの流れが悪くなる、より内旋した短い脚の側に始めは出やすいのですが、鼠径ヘルニアも例外ではありませんでした。鼠径ヘルニアの症状もまず基本的に短い足側にでる場合が多いと言えます。
又、その出ている症状を手術した後、両股関節が内旋したタイプだと、長い足の側にも症状が出てきてしまっているといった典型的なパターンが明らかに見受けられたのです。
手術の裏で進行している真の原因
これは、例えば左足が長い人が右側の鼠径ヘルニアの手術を受けて、その後、左側にも症状が出てきているということですが、手術を受けられて症状は抑えられても、その根本の原因である股関節の転位は、その裏で進行している事を示しています。
磯谷療法の理論通り、転位が進行すると症状は左右混交し、やがては長い足もより内旋していき、鼠径ヘルニアの症状が長い足の側にもでてしまっているのです。
両股関節内旋は進行すると骨盤が後傾する
両股関節が内旋した方は、例え、一見猫背に見えても、骨盤が前傾し反っている場合が多いのです。
両股関節内旋は骨盤を過度に反らせるのですから無理もないのですが、それにしても、両股関節内旋の鼠径ヘルニアの方は全体的な傾向としてこの反りが強かった事と、歩行困難に陥っているご年配の方などでは、一見猫背なのに男性としては驚くほど骨盤が反っていたんですね。結局は股関節の問題で内旋度があまりに強いのですが、それでは、この状態から実際に、股関節をどのように回復させていけばよいのでしょうか?
当然、股関節タイプを正確に診断して脚長差を縮めていくのですが、脚長差を縮めて行く中で、両股関節内旋の鼠径ヘルニアの方が典型的に陥りやすい状態があり、これを知る事は鼠径ヘルニアの方にとっては非常に有意義なことと思います。少し長くなりますので、実際の施術での改善例を添えて近々別の記事で書いてみたいと思います。
股関節6タイプ簡易診断
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