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鼠径ヘルニア(脱腸)を自分で癒す方法|症例Ⅰ


概要

前回、両股関節が内旋している鼠径ヘルニアの方のひとつの典型的パターンについて書きました。 鼠径ヘルニアと股関節

今回は、この股関節タイプの矯正をする過程で、鼠径ヘルニアの方が陥りやすい状態を、実際の施術例でご説明したいと思います。
これを読むと、鼠径ヘルニアをご自身で治そうとする時、是が非でも押さえておくべき大切な要素について知る事ができますし、又、ご自身を悩ませている鼠径部の膨らみについて、これまでにない判断や幾ばくかの洞察が生まれる事と思います。

症例1 右・鼠径ヘルニア手術後、左にも症状が出てきたケース

左脚長 両股関節内旋 50代後半の男性
3年程前に、右側の鼠径ヘルニアの手術を受けられたというMさんは、左脚が長く両股関節が内旋していました。左脚が長いと、はじめは短い方の右側に鼠径ヘルニアの症状はでやすいのです。

その右側にでた鼠径ヘルニアの手術を受けられ、その後は順調に過ごされていたのですが、少し前から今度は左側に、膨らみが出てきてしまっているという事でした。
右股関節にも違和感が出てきて、歩き辛さがあります。

5回目の施術|鼠径ヘルニアの膨らみがほぼ消失

両股関節共に内旋(内にねじれ)していて骨盤は反っているはずですが、一見すると猫背に見えます。
両股関節内旋が進行するとこのような姿勢になるんですね。
しかし、一回目の施術で右股関節を外旋(延長)させ脚長差が縮まると、身体のバランスが明らかに整い、背筋がすっと伸びて身長が高くなったように見受けられました。
顔も左右の均衡が幾分整ったようで印象も大分違って見えました。
右股関節に感じていた違和感はすぐになくなり、5回目施術にいらした時には、左側の鼠径ヘルニアのふくらみが消失し、『もうほとんど気にならないです。』と仰られたので、こちらも安心して、それでは、と脚長差を縮める為、右の股関節を更に外旋(延長)させたのです。

左股関節の内旋度アップで、戻ってしまった鼠径ヘルニアの症状

左脚が長い人の場合、内臓機能の低下が顕著で、この方の場合も便秘や頻尿等ありましたから、脚長差は最初からどんどん縮めたいわけです。

しかし、左側に鼠径ヘルニアの症状が出ていて、それは左股関節の内旋と深く関わっている為、左股関節も外旋(延長)させたいわけですが、加減しないと、今度は、左足が長くなって脚長差が開いてしまいます。

それまでは、脚長差を縮めつつも左股関節とのバランスを最大限配慮しながら矯正を行っていたのですが、その回では、脚長差の矯正を重点的に考え行ったのです。

すると、6回目にいらした時、脚長差も縮まり、施術後は体調も良かったらしいのですが、その後、矯正動作等熱心に行っていたところ、殆ど消失していた左側の鼠径ヘルニアの膨らみが少し戻ってしまった、と仰るのです。

これは、脚長差が縮まったのは良いのですが、左股関節がそれまでよりも内旋(左右相対的に)したため、症状が復活してしまったのです。

左股関節外旋度アップで、再び治まる鼠径ヘルニアのふくらみ

それで、左股関節を外旋させ左右のバランスをとり、矯正動作のやり方も、左右バランスを取るように微調整しました。

7回目いらした時には、完全消失ではないけれど『大分気にならなくなりました』と言う事で、目出度く、脚長差は縮まりつつも、左側の鼠径ヘルニアも、その後程なくして消失への経過を辿ったのです。

股関節痛と鼠径ヘルニアは、股関節矯正において同じ経過を辿る

このように、鼠径ヘルニアの膨らみは、左右の股関節の転位(角度の位置異常)がダイレクトに影響していて、脚長差の増減や左右の均衡や崩れで良くもなり、悪くもなるのです。

両股関節が内旋した方の完治に至る道は、下記リンクが参考になります。こちらは臼蓋形成不全の方の股関節痛などの遠隔での施術記録になります。
臼蓋形成不全は先天的な股関節の疾患ですので、普通の股関節の方はもっと楽に素早く矯正されますが、両股関節の内旋という意味では、股関節痛も鼠径ヘルニアも、矯正の過程が同じ道を辿りますので、是非、参考にしてみてください。

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鼠径ヘルニアを自分で治すために必要な事

鼠径部にふくらみや違和感がでたら、病院に駆け込む前に、間違った体操や自身の股関節タイプに合っていない運動、整体の矯正で不用意に脚を開かれたりする事等で、症状が悪化したのでは?と、一度、疑ってみるとよいのです。

それが、ご自身の股関節にとって、どのように悪かったのか知る事がご自身で鼠径ヘルニアを治す第一歩となります。
もちろん、重症化すると手術という選択が必要かもしれません。しかし、患部だけを検査して処置をしても、この方のように、股関節転位という根本の原因を正さない限りは、同じことが再現される可能性があります。

転位(脚長差)があると、常に、短い脚に重心の比重がかかる為、偏った動作を繰り返していく事になり、偏った筋肉の発達が助長され、左脚が長い人はますます左脚長に、右脚が長い人はますます右脚長になっていきます。
両股関節が内旋している場合も、同じように進行します。

股関節転位というのも人体の左右のバランス、前後傾のバランス、ひいては心身の健康を司る陰陽の原理そのもののことですから、

『どちらの脚が長いのか?』
『骨盤は前傾・後傾どちらなのか?』
これらを正確に知るための股関節のタイプ診断は、左右鼠径部に現れるヘルニアという疾患を根本的に癒すためには、大前提となります。

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