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【書評】 ずっと頭がわやわやするけど面白いので最後まで読んでみてください 『時間は存在しない』

ほぼ毎日読書をし、ほぼ毎日「読書ログ」を書いています。361冊目。

のっけから「時間や空間が根源的ではない」と言われ、頭の中に「?」が沢山浮かぶ、そして、読みすすめてみて、言わんとすることが徐々に理解できてくると、さらに、何がなんだかわからなくなってしまう。

いままで「時間」や「空間」は大きな宇宙という箱のなかで根源的にあって、あっちこっちで伸びたり縮んだりしつつも、とりあえず宇宙という入れ物に収まっていると考えていた。そして、この時間は必ず一方向に矢のように進むと信じて疑っていなかった。

どちらも普遍的、根源的に存在するもので、それ自体を疑うという発想がそもそも無い。我が家に住む子どもたちは、衣食住が当たり前に提供され、ママの妨害にあわなければパパが焼き肉きんぐやスシローに連れて行ってくれると当たり前のように考えているが、それくらい時間というものは根源出来なものであると、それが当たり前の事だと思っていた。

著者いわく、プランク時間なるものがあるという。ということは、時間には最小単位があり、コチコチと今の時間から次の時間へジャンプしている事になる。これを聞いて、またしても頭がひっくりかえる。

時間というのは根源的なもので、流れる速さは速度や重力の影響でそれぞれ違うとしても、流れは過去から未来に向けて一定で、アナログに一直線に途切れること無くスムーズに、どんなに倍率を上げても、上げてもずっと直線に進むものと思っていた。え、刻んでるってどういうこと?

こんな調子で、読んでいる間ずっと頭がひっくり返る。

著者が研究しているのは、ループ量子重力理論という論理物理学だ。量子重力理論を説明するアイディアの有力候補が超弦理論で、これは良く耳にした。そして、もう一つの有力候補がこのループ量子重力理論とのこと。

今までの常識だと思っていた事が次から次へとひっくりかえされるのはとても面白い。

物理学というのは、常に過渡期で、常に今が一番面白い、そういう分野なのだろう。ニュートンも、アインシュタインも、たどり着いた真相は、その時点で持ち得る観測能力で測れる近似値でしかなかった、この先もずっとそんないたちごっこが続くのかもしれない。

私には物理学を学ぶセンスが無かった(だって、授業が超つまらなかったのよ)のだけど、そんな私にも分かる形で最新の研究内容が日本語で紹介されている。これはとても幸福なことだなぁ。

昨日読んだ本のおかげで理解が深まりました。


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