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毎日読書#294 『弓と禅』(オイゲン・へリゲル)

スティーブジョブズに大変な影響を与えた本として有名ですね。

著者のオイゲン・へリゲルは1884年に生まれたドイツの哲学者で、もともとはドイツで神秘説を研究していた。

神秘説って何だろうとググってみたら、神秘主義として説明がされていて

神秘主義(しんぴしゅぎ、英: mysticism)とは、絶対者(神、最高実在、宇宙の究極的根拠などとされる存在)を、その絶対性のままに人間が自己の内面で直接に体験しようとする立場のことである。

とあった。日本の密教が「代表的な神秘主義だ」とあるので、ちゃんと調べるのは後回しにして、漠然とそう理解しておこう。

さて、そんなオイゲン・へリゲルが、「出離」(悟りの境地的なもの、たぶん)を理解したいけど、外面からあれこれと調べたところで全く分かんないやと困っていた時、日本で教鞭をとる話が彼の元に届く。

これは禅に触れるチャンスだと考え日本にやってきたのだが、最初は西洋人には禅は無理だよと散々拒否される。しかし、粘り強く活動し、とうとう「禅に関係する日本的な芸道である弓術を習うと良いよ」ということになり、高名な弓の師匠の元で修行することになった(この師匠も西洋人に懲りていたので最初は断りまくった)。

実は以前にご紹介した『日本の弓道』という本があり、中身がかなり似ている。それもそのはずで、あちらは講演の原稿を書籍にしたものなのだけど、この講演が好評で、では書下ろしを書きましょうとなり本書が生まれたという経緯があるようだ。

弓道を通して「無」を理解するに至る道のりを紹介しているのだけど、ロジカルな世界からやってきたドイツ人が、いかにして禅の神髄を得ていくのか、その理解のプロセス、体得のプロセスが大変に面白い。

それに、私みたいな、まったく「道」に触れたことのないへなちょこでも、本書を読むと、禅について、無について、なんとなく理解できたような気にさせてくれる。

新訳が出ているので、こちらが良いですね。

私が好きなのはこちらのほう。

以前ご紹介した、講演を元ネタにした本はこちら。

こっちも面白いよ。

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