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少年に届けたいのに少年には届かない『ワンピース』

ほぼ毎日読書し、ほぼ毎日読書ログを書いています。

『ワンピース』(尾田栄一郎)

ゼブラックという集英社の漫画アプリで、ワンピースが61巻まで無料だったのでついつい1巻から61巻まで読んでしまった。いやぁ大変だったけど楽しかった、面白かった。

少年漫画の王道ど真ん中でわかりやすい。少年ジャンプの基本理念「友情」「努力」「勝利」の全てが揃い、笑いあり、感動あり、バトルありと盛沢山。

実際、人気も数字も桁違いで、全世界累計発行部数は2020年4月の時点で4億7000万部とハリーポッターシリーズの5億部に肉薄する勢い。

大変に素晴らしいコンテンツで、私は楽しめたのだけど、好き嫌いの分かれる漫画だというのはよく聞く。

特に、アンチな意見として友人から聞いたのは、ポリティカル・コレクトネス的な視点からの問題指摘。女性の扱いが前時代的だったり、オカマきゃらが(作中のオカマキャラは全員が格別にナイスな連中なのだけど)とんねるず的扱いだったりと、時代錯誤感はたしかにある。

あとは、登場人物の多くがタバコを吸っているとか、登場人物が多すぎて覚えられないとか。

そして、話の展開の遅さも。話の脱線や、途中の差し込みエピソードが多いのだけど、そのせいで話の進行が遅い点も嫌われたりしているようだ。

そう、とにかく連載が長いのだ。

本作の連載開始は1997年と23年も前。なので、世界観の設定では、23年前の当時の常識をひきずっているという事もあるのだろう。批判されている事柄の理由の多くは、長すぎる連載に原因があるともいえる。

そして、個人的な感想ではあるが、本作の最大の欠点がこの話の長さにあると思う。本作は、コミックにして100巻近いのに、まだ連載が終わる様子はない。

今回61巻まで無料という機会があったので手に取る事ができたが、もし普通に定価で求めたら、現在の96巻でも46,464円の出費となる。Kindleでも44,160円だ。

もう、子どもには手が出せない金額だ。

1巻を読んで面白いと思っても、その先に5万円近い投資が待っているとなると迂闊に手が出せない。少年漫画なのに、子どもが一番楽しめる内容なのに、子どもには金銭的に手が出せないコンテンツ。これって致命的では。

この時期に少年ジャンプを買い始めた子どもが、連載されているワンピース(現時点で1000話目に近い)を読んで、面白いな、最初から読んでみたいなと思っても、おいそれと手が出せないこの不幸。

しかしまぁ、そういった脱線や蛇足も含めて全部面白いし、全部揃ってワンピースなのだろうと思うので、どうしようもないのだけど。

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