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毎日読書#214 『神の子どもたちはみな踊る』(村上春樹)

すこし前の話。縄跳びかなにかの動画を娘と探していた。

あれこれとリンクを巡っていたら、インド映画を面白く編集した体の面白くない動画に行き当たった。多分、元ネタにされたインド映画自体はとてもおもしろいのだろうけど、それに適当な日本語のテロップを付けて面白くしました、という動画で、それ自体は面白くなかった。

どうでも良いなと思ってスルーしていたのだけど、娘が面白がるので、子どもってちょろいなと思ったり。

そんなときに、小さいけど、体で感じる程度の地震があって、揺れたね、ゆれたよねー、なんて言い合う。

地震のあと、2、3回ほどリンクを巡ったら、音楽にあわせてカエルがジャンプする動画が再生された。これも娘は面白がっていて、やっぱり子どもはちょろいなと思ったり。

なんてときに、頭のなかでピキーンと音がする。

「インド映画!」 → 「地震!」 → 「かえる!」 → 「村上春樹!」

と、シナプスの謎のつながりが発生し、うわー、なんでだろ、村上春樹の何の作品をひらめいたの!? と気になって動画どころではなくなってしまった。でも、そのときは、何を思い出したのか、思い出せなかった。

さっき、引っ越しの荷物を開きながら、気になる本をパラパラめくっていたら(絶対に片付けが終わらないパターン)村上春樹の『神の子どもたちはみな踊る』という短編集が出てきて、その中の「かえるくん、東京を救う」という題を見て、随分昔のひらめきの答え合わせとなった。

東京に住む片桐という名の男が、一人住まいのアパートに戻ると、そこに巨大なかえるが待っていた。「ぼくのことはかえるくんと呼んでください」と言い「ぼくがここにやってきたのは、東京を壊滅から救うためです」と片桐につたえる。壊滅の原因は、みみずくんが引き起こす大地震で、かえるくんは、みみずくんと戦うのだ。

村上春樹は短編も面白い。短編だけ好きという人も居た。

さて、

「インド映画!」 → 「地震!」 → 「かえる!」

のうち、インド映画はどこから来たのか。

この作品の中でかえるくんは「……ドストエフスキーの『白夜』のことをふと思いだしました」と言った。

『白夜』はドストエフスキーの短編で、100ページ強と、本当に短編のサイズなのに、読むと胃もたれをしそうな重たさで迫ってくる作品だ。

ドストエフスキーは短編も面白い。他の作品と同様に愚かな人間がどっさり出てきて、長い長い独白が始まったりもして疲れるのだけど、不思議と明るい気持ちになる作品もあって、短編作品には、どっしりとした長編とは違う楽しさがある。

この『白夜』は男女の話なのだけど、なぜかインドで5回も映画化されている。そのどれも見たことはないけど、100人の孤独な青年と、100人の少女が踊り狂うのかしら。みてみたい。

そう、インド映画は、白夜からの連想。

ということで、ずっと喉元につかえていた(けど、完全に忘れていた)小骨が取れたのでそのご報告でした。

あー、すっきりした。

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