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日本酒好き必携! 酒米に注目してより深い楽しみを得よう『酒米ハンドブック (副島顕子)』【読書ログ#31】

私は酒が好きだ。特に日本酒が好きだ。日本酒は米で作る酒だが。この本は、その酒米約150品種について、品種名、命名由来、写真、1000粒あたりの重さ、系譜図、育成情報、生産地、品種についての説明をまとめている。

酒米ごとの説明やコラムなどでは、米の育成についての知識を知ることも出来る。こんなに酒ばかり飲んできたのに、全然知らなかったことがたくさんある。酒米の種類の豊富さが、日本酒の幅広さ、多彩さ、奥深さを生んでいるということがよく分かる。

もうね、とにかく楽しい。この本を片手に飲みながら、飲んでいる酒米について調べるのも楽しいし、系譜を眺めたり、追いかけたりするのも面白い。

たとえば、酒米で一番有名なのはダントツで『山田錦』だけど、これは母方に『山田穂』、父方に『短稈渡船』のかけあわせ。

父方の『山田穂』は面白いことに来歴不明。(有力な説の紹介がされているので読んでみて)

母方の『短稈渡船』は『渡船』から倒れにくいものを選抜して作られたもの。で、実は『渡舟』と『雄町』は同じ品種だということが分かっている。

みたいな感じで追いかけることが出来る。もうほんとうに面白くてたまらない。家で飲みながらずっと眺めていられる。

日本酒を長く飲んでいると、なんとなく自分の好みというものが分かってくる。蔵や銘柄の好みもそうなんだけど、味と香りの作り方、酸の出し方に好みが見えてくる。

そんな感じで好きな味を求めて飲んでいると、好きな味と酒米がリンクすることがある。味をしっかりコントロールしている酒はやっぱり山田錦を使っているなとか。愛山って当たると特大ホームランだよなとか。うめぇなぁと関心する酒の雄町率の高さとか。オオセトを使ってる蔵ってがっしりした味付けの料理にあわせやすいよなとか。とか、とか、なんとか。

おそらく、酒米だけが大きく味を左右する、なんてことは無いのだろうとは思う。けれども、あえてこの酒米を使った意図は何かな? なんて考えながら飲むのもまた楽しい。

まぁそんなわけで、酒を呑むときにラベルを見てしまうヒトには必須の本なので買いましょう。そうじゃないヒトも、酒が好きなら買ってみましょう。

日本酒飲みは持っていて損の無い一冊。是非買い支えて改定を続けていただきましょう!

要望も少し。一番思うのは、もうすこしめくりやすい紙質にしてほしい。情報としては満足しているけど、適した精米歩合とその理由、味の特徴、代表的な蔵や銘柄の記載、あたりがあると更に素晴らしいなと思う。

あ、系譜図で遊びたいのでアプリ化されたら最高なのにな。

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「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。