見出し画像

ラーメン二郎はコクのバクダンか『コクと旨味の秘密』

ほぼ毎日読書し、ほぼ毎日読書ログを書いています。

『コクと旨味の秘密』(伏木亨)

コクとはなにか? それを大真面目に探究した一冊。しかし、読んでも、読んでも、コクのまわりをクルクルまわっているだけで、なかなか正体を現さない。まるで、カフカの「城」でも読んでいるかのような気持ちになってくる。コクとはどのような味を指すのか、その説明冒頭にが無いので、読んでいてもずっと芯が定まらないのだ。味の決まらない味噌汁相手に観察したり、少し調味料をいれてみたりしあんがら、ぼんやり味見をしているような読書感。

結局、コクというものは、糖と油、それにダシの3コアを中心に、それらを複雑にするための不純物を大活用させ、香りや食感、舌触りや風味を「おいしい」に振り向けた結果、ヒトの心に刺さるもの、と言えるようだ。複雑さが大事なので、精製糖とサラダ油、それに味の素をボールに入れてよくまぜたような、ストレートな味付けでは、コクは生まれない。これはただのファーストフードだ。上手いのだろうけど、刺激が強く、麻薬的だ。コクとはそうではない、もっと複雑さが必要となる。それは、甘みを出すために味醂を使う、黒糖を使う、玉ねぎを使う、油は動物の肉から調達する、ダシも動物や魚、昆布などから取るといったことだ。そうるすと、複雑な雑味の掛け算がおこり、なんともいえないコクが生まれるという仕組みのようだ。そう聞くと、そうか、カレーやラーメン二郎はコク爆弾だな、と気が付いた。だが、結局コクはどんな味なのかと聞かれても、やっぱりわからない。明日はラーメンにしよう。


この記事が参加している募集

#読書感想文

189,141件

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。