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毎日読書#246 『ナイン・ストーリーズ』(J.D.サリンジャー)

東京都民には今週末籠城の指示。府中は東京だっけ? なんていいながら妻と二日分の食事はどうしましょう、またトイレットペーパーが無くなるのかしら、なんて心配をしながら家の備蓄をチェックしつつ、準備をすすめる。

時間もあるし、毎日二冊位読めるかな? 懐かしい作品でも読み返してみようかな? と、手に取ったのが本書。

本書は、サリンジャーがのこした30本の短編から、自ら選び、公開しても良いと本人が認めた9本の作品が収められている。これ以外の短編は、出版禁止のお蔵入り。

もったいないけど、サリンジャーならしかたないか。気難しそうだものね。存命中、村上春樹がライ麦を翻訳したとき、訳者解説の掲載を一切みとめなかったという逸話もあるくらい、自分の作品のありように強いこだわりのあった作家。

なんだけど。

なぜか、日本だけ他の短編も出版されていて、以前にもこのnoteで紹介しています。

「このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる」とか、ライ麦好きには気になる作品だと思うのだけど、正攻法で読めるのは日本人だけ。どういった仕組みなのかは存じ上げませんが、これってラッキーよね。

サリンジャーは短編こそ面白い作家だと思うので、もっと沢山の作品が公開されたらよいのにと思う。

さて、ナイン・ストーリーズです、収録作品は以下の通り(新潮文庫でのタイトルです)。

1. バナナフィッシュにうってつけの日
2. コネティカットのひょこひょこおじさん
3. 対エスキモー戦争の前夜
4. 笑い男
5. 小舟のほとりで
6. エズミに捧ぐ――愛と汚辱のうちに
7. 愛らしき口もと目は緑
8. ド・ドーミエ=スミスの青の時代
9. テディ

「笑い男」の文字にピンときた攻殻機動隊好きのあなた。そう、そうですよ、読んだ方が良いですよ。

「フラニーとズーイ―」が好きな方、多いですよね、ぜひ「バナナフィッシュにうってつけの日」と「コネティカットのひょこひょこおじさん」、それに「小舟のほとりで」を読みましょう。

サリンジャーといえば「ライ麦畑でつかまえて」なのだけど、私は「フラニーとズーイ―」などでおなじみ、グラース一家の一連の作品が大好き。

俗にいう「グラースサーガ」と呼ばれる作品群なのだけど、その一作目が、本書に掲載されている「バナナフィッシュにうってつけの日」だ。

この話は、この先の作品で繰り返し登場する亡き兄である「シーモアグラース」の物語。シーモアと妻は、新婚旅行をしている。物語は、シーモアの妻が、滞在する部屋から自分の母に長距離電話をかけるところからはじまる。

この作品はシーモアが亡くなるところで終わるのだけど、グラース家の物語はここから始まるのだ。

サリンジャーはね、出来れば、若いうちにパーッと読んでおきたい。

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