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毎日読書#290 『Think CIVILITY(シンク シビリティ) 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』(クリスティーン・ポラス)

企業のマナー研修を通して礼儀を学んだことがある方も多いと思うのだけど、あれって構成員としての均質化を目指すもので、それをもって成果や評価につながるというものではない、といった扱いかと思う。

本書ではもう少し踏み込んで、ビジネスのツールとして「礼儀」を扱っており、正直その視点に目からうろこだった。いや、考えてみなくても当たり前の事だし、経験則として理解しているので、皆さん礼儀正しくしましょうね、というのはわかるのだけど、そのことを、ちゃんと調査し、証明していったところが面白い。

職場に無礼な人間が居ると、無礼な人の居るチームのモチベーションが下がり、認識可能なレベルで業績が落ち、有能な人の離職が起こる。

礼節を重んじると、仕事はよく回るようになり、同僚や関係者との関係も良くなり、業績が上がり、出世が望める。

この「無礼な態度」や「礼儀正しい態度」は、容易く他人に感染するので、結果上司が無礼な人間だと、本来のパフォーマンスは削がれてしまう。

まぁ、それよりも何よりも、周りの皆が礼儀正しくて機嫌が良い職場だったらそりゃ最高だよね。

本書で示される調査結果が事実であるならば、これはもう、経営課題として扱うべき問題になる。

しかし、あくまで私の主観ではあるけれども、人は(特にオッサンは)偉くなった勲章として無礼を働く人が多い印象だ。しかもそれを良しとしている節がある。一番業績に目を配るべき人達に本書が届かない残念感。

是非、ちゃんとした経営者の方にしっかり読み込んでもらえたらなと思う。

本書、経営者の為の本かというと、そんなことはなくて、すべての方にとって、人生を機嫌よくするための知恵となる。仕事のみならず、友人関係、家族関係、各種コミュニティにおける活動で役に立つ考え方だ。

個人的には、学校や教育の関係者にも浸透してほしいなと感じる。特に部活なんて、いまだに前時代的な軍隊式が残っているようだし。

自分も周りも、皆がいつも機嫌を良くして居られるなら、人生は上々だ。


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