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毎日読書#255 『残酷な進化論: なぜ私たちは「不完全」なのか』(更科功)


子どものいる方ならご存じかもしれないが、書店で子供向けの棚にいくと『ざんねんないきもの事典』と、その関連本がドーンと積まれている。

動物たちの知られざる「ちょっと残念」な一面を、たとえば「キリンは長い舌で鼻くそをほじる」といったような話を集め、面白おかしくよませる本なのだけど、これが大人気のようで、Eテレでアニメにもなった。この本がきかっけだと思うのだけど、子ども向けなのか、それよりも少し上の世代向けなのか、進化や生物を面白おかしく説明する本が現れ、ちょっとした生物学ブームみたいになっている。

様々な動物達の、なぜそんな進化を? 自然淘汰でそれ? という不思議な形質をつかまえてはケタケタやるわけで、ずいぶんと高みの見物だ。

しかし、『残酷な進化論: なぜ私たちは「不完全」なのか』をよむと、ところがどっこいヒトも割とガッカリな生き物なのだなと知る事が出来る。どうやらヒトは、心臓病、腰痛、難産になるように進化している!? タイトルには「残酷」とあるけども、どちらかというと「残念」の方が適切だ。

目次は以下の通り。

第1部 ヒトは進化の頂点ではない
 第1章 心臓病になるように進化した
 第2章 鳥類や恐竜の肺にはかなわない
 第3章 腎臓・尿と「存在の偉大な連鎖」
 第4章 ヒトと腸内細菌の微妙な関係
 第5章 いまも胃腸は進化している
 第6章 ヒトの眼はどれくらい「設計ミス」か
第2部 人類はいかにヒトになったか
 第7章 腰痛は人類の宿命だけど
 第8章 ヒトはチンパンジーより「原始的」か
 第9章 自然淘汰と直立二足歩行
 第10章 人類が難産になった理由とは
 第11章 生存競争か、絶滅か
 第12章 一夫一婦制は絶対ではない
 終章 なぜ私たちは死ぬのか

人間の不完全な部分について、何故そうなったのか? を紹介する科学エッセー集だ。何か新しい視点でヒトの進化を説明するだとか、そういったことは全くなくて、現時点で明らかになっていること、明らかになりそうなことを、物凄くわかりやすく説明している。

この手の科学エッセーが好きな方は是非。中学生くらいでも読めると思うのでお子様向けにも良いかも。良い刺激になるかとおもいます。

知った話も多いかもしれないけど、文章が上手なので、知っているトピックも面白く読めます。楽しい読書をどうぞ。

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