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【基礎用語解説】ダイボンディングフィルム

ダイボンディング工程の中で、半導体チップと支持体(基盤、リードフレームなど)の接合に使用される膜状の接着剤のことです。

半導体チップをさいの目に切る(Diceという動詞)ことから、切り分けられた半導体チップはダイ(Die)と呼ばれます。このダイと支持体の接着(ボンディング)に使用されるために、ダイボンディングフィルムと呼ばれています。

当たらずとも遠からずですが、支持”台”とのボンディングフィルムと覚えれば、記憶しやすいかもしれません。

もう少し身近な例で言えば、レンガ(半導体チップ)を重ねていく際の接着剤として使用されるモルタルがダイボンディングフィルムと考えてもらえれば理解しやすいかと思います。

特にメモリなどの先端半導体は多積層構造になっており、それらをできる限り薄く高密度にパッケージすることが求められています。

半導体パッケージを組み立てる工程

主に以下のような流れです。

  1. 表面にパターン形成したウェハの裏面にダイボンディングフィルムをラミネート(仮で張り付ける)する

  2. ダイシングテープを張り合わせる

  3. ウェハを所望のチップサイズにダイシング(切り分ける)する

  4. 切り分けたチップを基板に配置する

  5. 基板と半導体チップを配線によりつなぐ(ワイヤーボンディング)

  6. 基板と半導体チップ全体を封止する

ダイボンディングフィルムに求められる特性

以下のような特性が求められます。

  1. 80℃以下でのウェハへのラミネートができる

  2. ダイシング時にチップやフィルムにバリ(末端にくっつくゴミ)が出ない

  3. ダイシングした半導体チップをピックアップしたときに、低加重で実装基板に張り付けできる

  4. チップと実装基板間の熱膨張係数の差を吸収できること

日常生活で言えば、2の特性は、ケーキを包丁で切り分けるときなどをイメージしてもらえればよいかと思います。切った断面ができるだけスパッとなっている方が、不平等感が生じないですよね。クリームが別の切れ端に移動するようなことが起こると大じゃんけん大会が始まってしまいます。

このダイボンディングフィルムを生産している国内メーカーで言えば、レゾナックグループ(旧昭和電工)かと思います。最近は名前を変えて後継の新商品を出しており、その設備投資を行ったとの報告がありました。

参考文献

J. Jpn. Inst. Electron. Packaging 16(5): 347-351 (2013) (jst.go.jp)

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