見出し画像

【絶版プレミア書籍】 40年前からテレワーク!何を大切に経営していたか? その2

現在、絶版プレミアがついている書籍、「奇跡の経営」で紹介されているセムコ社は、40年前からテレワークを導入しています。

一体、何を大切に経営していたのか?
そこには、今の時代にも通じる、大切な経営思想がありました。

そのエッセンスを改めて抽出し、凝縮してまとめた、第二弾です。
(第一弾は、こちら

◆組織における唯一のパワーの源泉は情報である!

アメリカの医療業界では、回避可能な医療過誤による死亡事故が年間40万件起きています。

これは航空業界で言うならば、ボーイング747が1日2機事故を起こす、もしくは「9.11テロ」が2ヶ月に1回起きていることと同等であると言われています。

しかし、実際の航空業界における事故率は100万回のフライトにつき41回。年間15件です。

医療業界と、航空業界でどうしてここまで差があるのでしょうか?

それは「情報の透明性」です。

航空業界では、事故が起こると飛行データとコックピットの音声が共有され、徹底的な分析によって再発防止に努めています。

もしかしたらテレビで事故当時の音声が放送されているものをご覧になったことがあるのではないでしょうか?

一方で、医療業界では、調査内容が公開されるのは、基本的に医療事故によって裁判になった時だけです。

情報が共有されないために、同じ失敗を繰り返すのです。

情報の不透明性によって問題が起きているのは何も医療業界だけではありません。

私たちの組織の中でも問題は起こっています。

「組織における唯一のパワーの源泉は情報である」とリカルドは言います。

◆コントロールをやめることは、すなわち情報の独占をやめること

どの組織においても、特定の人しか知らない情報は、危険な権力の集中を生みます。
「情報の秘匿によって不正な権力が生まれる可能性を排除するには、情報は常に誰にでも開示され共有されなければなりません。情報を開示することで、競合相手に機密情報がもれてしまうという意見があるからといって、それが情報の自由な流れを止めるべきという結論にはなりえない。」
「オープンコミュニケーションは、多少の代償があるにしても、実施する価値のあるものです。それは、組織内に共有文化を育むための核になるほど重要なものです。給与がタブーなトピックであるとするなら、どういう情報が制約のないものなのでしょう?組織における唯一のパワーの源泉は情報です。情報を提供しなかったり、選別したり、留保することは、情報を秘匿して権力を保持しようとする人間に利用されるだけです。」
「情報を制限したり、それに手を加えたりすると、不正な権力の温床になります。他人が知らない情報に通じている人がいます。会社は、こうした温床を取り除き、社内の不満や口論、権力闘争の元凶を断っておくのです。」

◆情報が不透明であれば社員は「何か隠されている」と感じ、経営層に対して不信感を抱くことになります

逆に情報が透明であれば、「信頼されている」と感じることもできます。

人間が意思決定できない、行動できない理由は、実は能力や勇気の欠如ではなく、正しい情報が共有されていないことが大きいのです。

適切な情報があれば、人はそれに基づいて判断することもできますし、行動することもできます。

情報を透明にすることは信頼を高めるだけでなく、社員を勇気づけ、自ら考えて行動する後押しをするのです。

また、リカルドによると、情報を公開する上で、社員が適切にその情報を理解し利用できるように教育しなければなりません。

そのため、実際にセムコ社では、社員に財務諸表を公開し、さらに、彼らがそれを活用できるよう財務リテラシーを高める教育を導入しています。

◆「なぜ?」を三回問う!

情報を透明にして、情報を手にし、適切な意思決定ができるためには、「なぜ?」と疑問に思い、社員自らが情報の背景を理解することが合わせて重要です。

例えば、あなたの会社が朝礼をしていることを想像してみてください。

Why:朝礼はなぜするのでしょうか?

答えが「皆で集まる機会を作るため」だとします。

Why:なぜ朝に皆で集まる機会を作りたいのでしょうか?

「全員で揃って理念について考える時間を作るため」だとします。

Why:なぜ理念について考える時間を作りたいのでしょうか?

「理念を浸透させたいから」という答えが出るとします。

朝礼をするのは、理念を浸透させる。という理解につながります。

この「なぜ?」を3回繰り返すことこそが、セムコが大切にする「3why」というコンセプトです。

「われわれの成功の秘訣は何か?もし、われわれの活動の根底に戦略があるとすれば、それは、どうしてなのか?その理由を問うことです。」

とリカルドは話します。

「多くの質問を向けられると、人は、尻込みしてしまいます。第一に、理由を問うことで、相手が無礼だと感じることがあります。第二に、相手に自分の無知や情報の準備不足と取られることもあり、それによって契約を取れない危険性があります。第三に、自分の知識や考え方が、間違いであったり、不完全であることを意味することでもあるからです。また、社員が絶えず質問を投げかけることで、経営者サイドが脅威を感じる場合もあるでしょう。」
「しかし、質問することは、アイデアの硬直や、まる暗記の回答をすべて捨てさせることにつながります。社員は自由に質問し、分析し、調査できなければなりません。そして、会社側は、社員の意見をしっかり聞く柔軟な態度を持たなければならないのです。こうした習慣こそが、会社が長期的に存続し、成長を遂げ、利益を生む秘訣です。」

また、彼はセムコ社に関してこう話します。

「どうして?と問うことは、子供がそうするように純粋なものであり、本来あるべき姿なのです。4歳の子供に何かを話して、その子供が“どうして?”と聞くと、私は大人としての回答をします。すると、また子供は2回目の“どうして?”を投げかけます。するとこちらは少し返答に困ります。そして3回目の”どうして?“をやられる時には、その子にアイスクリームでも買い与える以外に、手立てがなくなってしまいます。」
「セムコ社のミーティングでは、この“どうして?”を基本にしています。われわれは、同じテーマについて、何度も何度も話し合います。とっぴな視点からの意見もあれば、ときには焦点がぼやけることもあります。それでもなお、われわれは質問を繰り返します。そして、ずっとそれが続きます。われわれは、紙に書いた計画を持たないようにしています。そういうものがあると、誰も最終的な行き先を考えることなく、ただ笛にしたがって行動するようになるからです。」

◆本当の目的さえ互いに認識していれば、本来ルールなど必要ない!

「どうして多くの企業リーダーは、社員が最も大切にしている個人的自由の価値観に反する、硬直したコントロールと管理というやり方に固執するのだろうか?」とリカルドは言います。

なぜ?を3回繰り返せば、本来手に入れたかった目的が現れます。

そうすることで、今あるルールに固執せず、本来の目的に沿った行動が取れるようになるのです。

これが3whyが果たすところの役割であり、セムコ社が大切にする哲学です。

◆2001年、セムコ社はコンピューターウイルスの攻撃を受けました。

損害が多くの部門に派生する危険性があったので、メインサーバーの電源を落とすことが考えられましたが、それによってさらに会社全体に悪影響が及ぶことを恐れ、誰もそうしませんでした。

しかし、ある1人の女性エンジニアだけはサーバーの電源を落とすことを主張し、実際に実行に移しました。

それによってウイルス問題は解決し、システムの復旧に2日間の時間を要しただけでことなきを得ました。

もし彼女が自分の直感に従って行動しなければ、クライアントに重大な損害を与えていたでしょう。

リカルドはこの事件について次のように語ります。

「直観力こそは、人が成功する意思決定を行う重要な要素です。ただ、この直観は、言葉にして説明できるものではありません。しかしながら、人の行動を左右する大きな意味を持つものです。」
「誰も直観にしたがって行動することを許可されない限り、マニュアルを超えて考えようとはしません。しかし、直観で行動することが社内で許されることになっていれば、会社のため、そして自分自身のために、直観に基づく行動をとるようになります。」
“何も考えずに、上司の言ったとおりに働けばいい”と言われれば、人のやる気はすぐに萎えてしまうでしょう。同様に、数字を上げるためだけに働くのであれば、直観力は養われません。なぜなら、他人から評価されることばかりに目をむけるようになり、本来重要であるにもかかわらず、他人から評価されないという理由だけで、人はそれを行うことをやめてしまうからです。このため、創造力やブレークスルーの機会を損い、結果として、その人の本来の能力が萎縮してしまうことになります。 」

直観を重視するリカルドの思想の根本には次のような哲学があります。

「新しいことにチャレンジすることによるリスクを避けたいのは理解できる。しかしそうすること自体がリスクを背負い込むことになる。」

「失敗は私たちにやってはいけないことを教えてくれるものだというのは誤った考え方です」

多くの官僚的な会社にある許可を願う文化では社員の独創的なアイデアは押し殺されます。許可を願うより、許しを請う文化こそがイノベーションが起こる土壌を作り上げているのです。

◆リカルド関連情報を手にいれるには?

こちらの書籍は現在絶版となっております。

彼の経営の考え方については、ウェビナーもしておりますので、ご興味ある方・直接質問したい方はこちらにご参加ください。

また、リカルド自身が語るYouTubeも配信しております。

ご関心がございましたら、こちらもご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?