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ギャグマンガ・4コママンガ千冊 82〜86冊目 『ポケットモンスター 4コママンガ劇場』 単行本 全5巻 感想


『ポケットモンスター 4コママンガ劇場』エニックス

”ポケットモンスター”をテーマに、パロディを用いた4コママンガのアンソロジーとなっている。さまざまな作者、一巻ごとに10人以上が参加して、それぞれの作風でポケモンの4コママンガを描いている。画風も違うし、ギャグセンスも当然違うので、いろんなポケモンパロディが見れて豪華に感じる。

このシリーズは96年〜98年の間に発行されている。ちょうど、わたしが小学生の頃だった。当時わたしは、もらったお小遣いで新刊のこのマンガを買い揃えていった。たしか、発売されるごとに買っていったはず。思い出のマンガだ。小学生のうちに買い集めたマンガは、このシリーズと『とっても!ラッキーマン』だけ、というか人生の中でこの二つだけだ。大人になったから集めたのは『ベルセルク』と『ヒストリエ』だけど、中途でやめてしまいました。4コママンガ劇場は、テレビゲームを題材にして多くのシリーズが生み出されており、その中でもドラゴンクエストのシリーズは、多くの巻数発行されており、いちばん人気があったのかもしれない。わたしは、そこまでドラクエをプレイしていなかったので、ポケモンシリーズのほうに夢中になった。正直言って、エニックスの4コママンガ劇場はわたしの世代の宝物といった感じだ。他の世代はあんまり知らないのではないか。『天才バカボン』や『マカロニほうれん荘』がその当時の子供にとって光り輝く作品だったのなら、わたしの世代は4コママンガ劇場でしょうね。わたしの場合は、ポケモンシリーズですが。

とにかく、さまざまな作者の絵を見れるので、飽きがこない。4コママンガなので、作者が違えど同じような4コマ的展開になることもある。けれども、画風が違うとまた違って見えてくるからフシギだね。次の作者はどんな絵だろうと、ページをめくるのが楽しくなってきます。そのうち、ご贔屓にする作者が出てくる。向水遙、池野カエル、はりぶきしきみ、などがお気に入りだった。向水遙は人気があったんだろうね。全5巻に参加しているし、担当しているページ数も多い。4、5巻では、一冊の四分の一ほどのページ数を”ポケットモンスターギャグワールド”と銘打って、一人で担当している。意地悪でツンデレのコイルを生み出した作者だ。

このシリーズのどこが面白いのかというと、ポケモンあるあるをギャグとして描いているところだと思う。自分がポケモンをプレイしていて、気になった点やつっこんでしまったところ、疑問を抱いた部分なんかがテーマとして扱われているので、読んでいて「あっ、そこの部分、オレも気になってた」とか、「やっぱ、そうなるよね!」とかいった感動と笑いが生まれてくる。たとえば、育て屋に預けたポケモンってどうなっているんだろうとか、釣りでコイキングばかり釣れ上がるとか、ディグダが”あなをほる”したらどうなるとか、ヤドンが”どわすれ”使ったら他のことも忘れちゃうんじゃないかとか、挙げたらキリがないですが、こういうポケモンに対する各々が持っている不思議をネタにしてくれている。それがあるので、読んでいて面白い。ポケモンを日常生活で利用したらどうなるだろうか、どんな事件や事故が起こる恐れがあるか、といったことは、ポケモンを夢中になって遊んだ子供なら誰しも夢想するんじゃないかな。それが4コママンガとして具現化されている快感があったと思う。電気ポケモンで家電製品を動かせるんじゃないか、ズバットは”きゅうけつ”を続けるとおなか一杯にならないのかな、なんかはこれらのマンガで描かれています。あとは、イーブイは三種のうちどれに進化するべきか問題、他人のポケモンにモンスターボール投げちゃう問題もね、扱われております。

登場するポケモンは、やはりピカチュウやピッピなどのカワイイどころが多くなりますが、作者によって取り上げるポケモンが違うのもこのマンガのいいところです。同じピカチュウを描いていても、作者によってピカチュウのキャラは当然変わってくるので、十分面白いんですが、登場するポケモンが異なると目で違いが楽しめます。意外と、トランセルがたくさん登場しますね。向水遙のピカチュウ、ライチュウ、はりぶきしきみのフシギダネ、池野カエルのニャースなんか好きですね。読んでいる途中から、作者それぞれのポケモンのキャラが立ってきて、それがまた楽しいんですよね。

子供の頃に、夢中で読んだマンガってほんとに貴重な存在ですね。テレビゲームを題材にしたマンガの黎明期だったのが、わたしの世代っぽいです。文学、落語などではなく、ゲームで育ったわたしの世代のためのマンガって感じがします。今の少年たちは、なにを読んでいるんでしょうね。Youtube の動画がその役割を担っているのかな。それらには、ちゃんと起承転結があるのでしょうか。子供心をワクワクさせるようなものになっているのかな。刺激的なリアクションと演出だけの”ボロのつりざお”に、コイキングのように釣られているだけでないか。なんて、偉そうなことを言っておりますが、この文章に起承転結ないんですね。「フシギなことだ、一体お前はなにを読んできたんダネ」とお説教されソウでありますが、思い出バナしはこれで終わりでチュウ。

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