ほんの少しのきっかけで人は変われる

瀬島京子「船場ビスポーク」店主

2020年6月5日 21:15

私が、
「この仕事をしていて本当に良かった」
「人の役に立つ仕事なんだ」
と自信を持つきっかけをくださったお客様の1人が、K様という30代営業職の女性です。

「センスが無いんです…」

「格好をなんとかしろって周りに言われるんです…」

最初にお会いしたとき、K様はそう言いました。
男性営業が多い職場に転職してきて半年、周囲にお手本となる女性営業の先輩がほとんどいない状況。

男性上司や先輩も「なんとかしろ」と言うものの、女性服の具体的なアドバイスが出来ないし、わからない。
そこで私が紹介されたという経緯でした。

この「なんとかしろ」はクセものです。
これは男女問わず、またファッションに限りません。
どうにも良くないのはわかるが、では具体的にどうしたら良いかはアドバイスできない。
これは言われた方も困りますよね。

そして皆さんおっしゃるのがこの言葉。
「私はセンスが無いので…」

断言します！
ファッションに関して言えば、お洒落ができないのはセンスが無いのではありません。
ただ「知らない」だけなのです。

センスは才能ではない

●基本のコーディネートルールを知らない

●オシャレに見えるコツを知らない

●自分の長所を魅せる方法を知らない

●自分の短所を上手にカバーする方法を知らない

●良いものの選び方のポイントを知らない

センスとはほぼ経験値です。

今まで必要が無いか、
興味が無いか、
自分はセンスが無いと諦めていたのか、
とにかく知らないだけなのです。

また、服飾関係のカリスマと呼ばれるようなスタイリストやバイヤーなどの方々が、皆さんモデルのようなスタイルの美人やイケメンでしょうか？

申し訳ないですが、そんなことは無いですよね。

オシャレには性別、年齢、体型は関係ありません。人と比べてどうかということより、自分をより良く魅せることが重要なのです。

私が多くの方に感じるのは「もったいないなあ～」ということです。

もっとこうしたらカッコいいのに。

もっとこうしたらきれいになるのに。

もっとこうしたらオシャレに見えるのに。

もっとこうしたら仕事できるように見えるのに。

もっとこうしたらスッキリ見えるのに。

この「もったいない‼️もっと良くなるのに‼️」を多くの人に伝えたいと思っています。

自分はセンスが無いと思っている方がいたら、それは絶対に違うと言い切れます。

もっとカッコよく/きれいになりたい‼️と思う人は必ずなれます。これは私が保証します。

彼女の変身

さて、後日彼女と面談をした後、一緒にショッピングに行きました。
彼女は営業職だったので、スーツやインナーの選び方や着こなし方、靴や鞄について基本的なことをお伝えしました。

さらに後日スーツを1着オーダー下さり、それから新しい靴を2〜3足買い揃えました。

彼女は基本的にネイビーのパンツスーツをお召しなので、それに合いそうなビジネスバッグを私からオススメさせて頂きました。

高級靴で有名なSantoniのイエローのビジネスバッグです。

ネイビー×イエローは非常に相性の良い組み合わせなこと。彼女の明るく活発なイメージにぴったりであること。イエローは元気を与えるパワーカラーであること。また、職場でもお客様にも男性が多いお仕事柄、敢えて男性が使わない明るいカラーを取り入れることで独自性を打ち出せると思いました。

後日彼女に会った時、以前とは比べものにならないほどの明るい声と表情で、私にこう言ってくれました。

「お客様や同僚の方に、このバッグめっちゃ褒められるんです！やっぱり見ている方は見てるんですね。ファッション大事ですね！」

彼女はやがて会社で「Kさん、最近めちゃキレイになりましたねぇ～」と言われるまでになりました。

そして転職から1年後、見事新人賞に入賞しました。

私は、彼女に非常に感謝されました。
手書きの心のこもった手紙と、表彰式の写真と、お土産まで頂きました。

しかし、これはもちろん私のおかげではありません。全ては彼女の努力です。
私はほんの少し、彼女の魅力を引き出すお手伝いをしただけなのです。