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【マッチレビュー】日本vsカナダ

〈システム〉
 日本のフォーメーションは4-2-3-1。GKに大迫、DFは毎熊・冨安・町田・中山の4人。ボランチに遠藤と田中碧、2列目は伊東純也・南野・中村の3人。ワントップに浅野が入った。一方のカナダは3-5-2のフォーメーションで試合に臨んだ。

〈前半の展望〉
 試合は序盤からいきなり動いた。相手陣地内で敵を挟んでボールを奪いそこからパスを繋いでエリア内に入り、全体が押し込む状況を作った。相手に弾かれたボールも拾って二次攻撃に繋ぎ右サイドからのクロスのクリアボールをペナルティエリア付近で回収した田中碧がシュート。これが相手に当たってコースが変わりゴールに吸い込まれ早くも日本が先制点を挙げた。
 日本は開始早々にゴールを決め、その後も試合の主導権を握って日本のペースで試合を進めていく。積極的に前からプレスをかけに行き後ろの選手もこれに連動して敵のサイド側でボールを奪う機会が多かった。カナダは後方から繋いでいこうとしていたが、センターバックのビルドアップ能力はそこまで高いとは言えず、日本の守備のプレッシャーに負けて上手く組み立てていくことは出来ておらず、日本の前からのプレスは機能していた。
敵陣地でボールを奪った後もサイドバックの攻撃参加といった攻撃の押し上げもあり、上手く味方同士が連携を取りながら相手ゴールに迫った。サイドに展開して攻撃する形を作っている印象だったが、ボールを持った際にすぐに外に出すのではなく、まず前を向いて縦のパスコースを探していたので、縦に付けられるときは付け、コースを切られていたらサイドに振るというように、しっかりと選択肢を持ちながら最適なものを選択して攻めることが出来ていた。
 対するカナダの攻撃は主に左サイドのアルフォンソ・デイビスからチャンスメイクしていくことが多かった。バイエルンに所属するデイビスはカナダの要注意人物であり、持ち前のスピードを活かしてドリブルで仕掛け違いを作った。また前線のデイビッドも違いを出せる選手であり、ともにスペースを見つける能力に長け、この2人の存在は大きいものだった。18分には2人がスペースにポジションを取りながら2人で崩して日本ゴール前まで迫り、最後は抜け出したデイビスを大迫が倒してしまいカナダにPKを与えてしまった。同点に追いつかれるピンチとなったが、この自ら与えたPKを大迫がストップし、このピンチを防いだ。
 最大のピンチを切り抜けた日本は追加点を取ろうと攻撃に出る。3人目の動きを使ったビルドアップで相手のプレスを剥がして前進し、詰まりそうな場面では浅野が裏に抜け一気に背後を狙いビルドアップの逃げ道としての役割を担った。そして39分、3人目の動きでスムーズな連携で相手を崩し最後は敵のオウンゴールで日本が2点目を挙げた。更に42分には、これまでも狙い目だったビルドアップ時のセンターバックに浅野がプレスをかけてボールを奪い、最後は中村が決めてリードを3点に広げハーフタイムを迎えた。

〈後半の展望〉
 後半も開始早々に日本がゴールを奪う。後半3分、中山の裏へのボールに抜け出した南野が中に入れて伊東が受ける。その伊東のラストパスに抜け出した田中碧がこの試合2点目となるゴールを挙げ、日本は更なる追加点を取った。
 その後も日本は守勢に回りすぎることなく得点を決めようと攻撃に出る。中でもワントップの浅野が前線でしっかりと起点を作り攻撃を押し上げることが出来ていた。浅野の一番の特徴は自慢のスピードを活かして相手の背後を取るプレーであることだが、そのプレーだけに留まらず、楔のパスに対してカナダのDFに当たり負けせずにボールを収め味方の前進を手助けする役割も十分に果たしていた。簡単に潰されることが少なかったので、日本は思い切って攻撃に転じることができ人数をかけた厚みある攻撃を仕掛けられた。
 一方で点差を付けられたカナダは反撃の糸口を掴みたいところだったが、あまり良い形で攻撃を行えるシーンは少なかった。デイビッドはポジションを取り直し味方からのパスを受けるために良い位置に立ててはいたが、他の選手がそれに続くことができずにパスコースが限られ、サイドに逃げてクロスを上げるという形が多く、自分たちで崩してサイドを狙うというものでは無かった。
ただ、デイビッドはアクションを繰り返し日本の守備を引っ掻き回すことは出来ていたので、デイビッドの動き出しで空いたスペースを上手く使ったときには良い攻撃を繰り出せるようにはなっていた。
 そして43分、ライン間で受けたデイビッドからサイドのデイビスに繋ぎデイビスは日本の守備を引き付けるようにしてドリブルで運んでいく。デイビスに釣られて出来たスペースにデイビッドが抜けて中に折り返し、このクロスは防いだものの、そのこぼれ球を押し込まれ終盤に日本は失点を許した。これまでもデイビッドを捕まえきれていなかったが、失点シーンもデイビッドの動きに対応が遅れたことが原因となった。
 その後のスコアは動かず4-1と日本が勝利を手にした。

〈まとめ〉
 攻守が連動したプレーを90分に渡って継続して行い選手全員が意識をしっかりと共有し攻守一体となったサッカーを展開することができた。終了間際に相手にゴールを奪われてしまったことは痛いところではあるが、十分に強い日本を見ることができたと思う。

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