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アロマの化学的な話

薬剤師としては、ここが一番興味深いです。

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こんにちは。しおりです。
今日は精油の芳香性分類についてお話していきます。
分類によって作用や効能が似てくるので、分類が分かるだけでどんな効果を持つか検討がつくようになります。


1.芳香性分類とは

芳香分子は基本の構造と官能基によって分類します。
組み合わせによって、おおまかに区別することができます。

*基本の構造:テルペン系、芳香族、脂肪族

◇テルペン系
イソプレンが2つ以上繋がった骨格です。精油に含まれる芳香分子はテルペン骨格が多いです。イソプレンが2つでモノテルペン(C10)、3つでセスキテルペン(C15)…と骨格の数で呼び方が変わります。


◇芳香族
ベンゼン環を持つ分子のことを指します。(もっと細かい条件はありますが、一般的にはこれで十分かと思います。)19世紀頃から知られていた芳香を持つ化合物に共通する構造であったことから、芳香族と呼ばれました。香りが芳香族の特徴ではありません。
芳香分子を含む精油は、皮膚刺激を持つものが多いです。


◇脂肪族
鎖状に炭素(C)が連なった骨格です。植物油や柑橘系の精油に含まれています。

*官能基:-OH、=O、-CHO、-COOH、など化合物に特有な性質を与える原子団のことです。


上に書いた、基本の構造と官能基の組み合わせで芳香性分類として区別しています。
それぞれの分類で似たような作用を示します。


2.ケトン類

芳香性分類の1つ、ケトン類を勉強したいと思います。

◇構造
テルペン系の骨格+=Oがくっ付いている構造です。
語尾が「〜オン」が目印になります。(そうでないものもあります。)

ペパーミントに含まれる「l-メントン」、ヘリクリサムに含まれる「β-ジオン」


ラベンダー・スピカ、ローズマリー・カンファー、ローズマリー・シネオールに含まれる「カンファー」
慣用名は〜オンじゃないので注意です。正式名称はボルネオンなので、〜オンですね。


◇芳香性分類の主な作用

粘液溶解作用 +++
脂肪溶解作用 +++
胆汁分泌促進作用 +++
去痰作用 +++
瘢痕形成 ++

ケトン類全体の作用です。
例外もあるので、芳香分子の固有の作用を優先して考えます。
神経毒性や堕胎作用があるので、この成分を多く含む精油は禁忌事項や注意事項があるので守ってください。
乳幼児や妊産婦、授乳婦、高齢者、てんかんを患っている方の使用は避けましょう。


◇芳香分子の固有作用

・カンファー(ラベンダー・スピカ、ローズマリー・カンファー、ローズマリー・シネオール)
筋肉弛緩作用、冷却作用、血管運動興奮作用など

・β-ジオン(ヘリクリサム)
血液凝固阻止作用、血腫抑制作用など
→アザ消しに使えます

・l-メントン(ペパーミント)
胆汁分泌促進作用


◇ケトン類を多く含む精油

ペパーミント(30%)
ローズマリー・カンファー(20%)
ラベンダー・スピカ(12%)
ローズマリー・シネオール(11%)


◇どんな時に使うの?

・ダイエット
脂肪溶解作用があるので、ダイエット効果が期待できますが、アロマだけで痩せるのは難しそうです。

・胃もたれ、消化器の不調
胆汁分泌促進作用は脂肪の消化吸収を助けてくれるので、胃もたれや消化器の不調時に役立ちます。

・鼻詰まり
粘液溶解作用と去痰作用があるので、鼻水や痰のケアに使います。


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他にも精油ごとに固有の作用があったりするので、それぞれの用途はまた別の機会にご紹介したいと思います。

ケトン類は注意が必要だけれど、色んな症状に役立つ精油が多いです。
ぜひ覚えてみて、アロマライフに役立ててみてください♪


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