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6月6日という日

6月6日という日には、ちょっと特別な思い入れがある。

5年前のその日、私は、ほとんど機能しなくなっていた左目の、
失明回避のための手術を受けた。
当時、あにるくんはまだ2歳。

1週間の入院が決まっていたけど、あにるくんには言えなくて、
その日の朝は辛かったのを覚えている。
あにるくんを保育園に見送って、私はそのまま病院に行った。

もう5年も前のことだけど、6月6日が近づいてくると、ちょっとソワソワする。


今年の6月6日は日曜日で、晴れていたので
久々に丹波の方まで、家族で車で遠出しようということになった。

丹波には、旧質美小学校という、旧校舎を活用して色んなカフェや雑貨屋さんや本屋さんが入っている、ちょっと素敵な場所がある。
その中のパンドーゾというお店でピザをたべて、旧校舎の中のお店を回った。

懐かしい雰囲気の中で、たまたま入ったアンティーク屋さん。
タイムスリップしたように、色んなものが置いてある。
昔、この小学校で使われていたのかな?という顕微鏡や
古い誰かの裁縫道具とか、整理棚、レトロなお皿や食器たち。
物には記憶があるのだろう、と感じられる濃密な空間。
ついつい見入ってしまう。

あにるくんが私を探して、お店に入ってきた。
少し離れたところで何か見ている・・。
そして、伺うような、遠慮がちな声で、
「ママ、欲しいものがあるの、ちょっと見て」

あぁ、この声は、結構本気で欲しい時の感じだ。。
アンティークは、物によっては結構高い・・!

ドキドキしながらついていくと、あにるくんの指差す先には、
手綱を引っ張ると、足が動いて付いてくる木製の犬がいた。

まずい・・これは、かわいい。

古そうだけど、しっかり作られていて、曲線や木の感じもとても良い。
でも、案の定、結構高い。
私は、一応困った顔をして、あにるくんに「本当に欲しい?」ときいた。

うちは今、断捨離中。
しかも、捨てるのは苦手という性格ゆえ、あまり簡単に物を増やしたくはないのだ。

あにるくんは、本気のようで、まだ半年先のクリスマスプレゼントでもいいから欲しいという。

ここは、パパの意見を・・!と思って、廊下をふらついていたパパを呼んでくる。
「あにるくんが、どうしても欲しいっていうものがあって・・これなんだけど」

廊下から遠目にその木製の犬を見た瞬間、パパは片手で顔を覆った。
胸を打たれたのだ。
しばらくの無言タイム。
あにるくんは私の服に顔を押し付けて半泣きで懇願している。

パパが口を開いた。
「磨いてやってくれ・・」

決まった。

お支払いの時、お店の人に聞くと、
この犬は、さっきまでずっと棚の下の見えないところに置かれていて、
入り口付近の商品が売れたので、そこに移動して来たばかりだという。

少し時間が早かったら、多分気付かずに通りすぎていた。
なんとなく、不思議なご縁とタイミング。

そんなわけで、見事に3人のハートを撃ち抜いて、うちに来ることになった。
翌日、早速磨いたら、つるつるになった。
あにるくんは、廊下を散歩させて、
夜は自分の布団の近くに、小さな布団を作って寝かせている。

ふと足元にいたりすると、どきっとする。
頭を撫でると、どきどきする。
ただならぬ存在感。

今年の6月6日は、犬くんがうちに来た日で、お誕生日ということになった。
家族が増えたような気分で嬉しい。
よろしくね、なかよくしよう🍀

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