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環境博士に聞く、地球温暖化の話(Vol.1)

地球温暖化。
いろんな意見があるけど、「ぶっちゃけ、どうなんですか?」ということを、ちゃんと科学者に聞いてみたい!
ということで、第53次南極地域観測隊のひさしさんにインタビューをしてみました。
お話が面白すぎて全然本題にたどり着けないけど、その辺も含めて地球の面白さを感じてください。

<インタビューした人>
ふるかわりさ:SELF共同代表。

<インタビューされた人>
大岩根尚(おおいわね ひさし):1982年宮崎生まれ。地質学を専攻、東京大学博士号(環境学)取得。南極観測隊として、気候変動に関連する研究に従事。鹿児島に移住し、三島村の役場職員に転身。その後、同村の硫黄島に移住し合同会社むすひを起業。書籍「DRAWDOWN」の翻訳協力・実践支援
・NPO薩摩リーダーシップフォーラムSELF理事
・株式会社musuhi取締
・鹿児島県大崎町「サーキュラーヴィレッジラボ」所長

りさ:まず、ひさしさんについて詳しく知りたいんですが、南極でどんなことをしてらしたんですか?

ひさし:一言でいうと「山に登って石をとってくる」です。

りさ:山に登って石を取ってくる!

ひさし:はい。 南極の内陸にセール・ロンダーネ山地という場所がありまして。
昭和基地、というのは聞いたことありますよね?

りさ:はい。「昭和基地」という単語だけは聞いたことがあります。
・・・((ググる))・・・南極を時計に見立てると、12時くらいの位置っぽいですね?

ひさし:むむ、いきなり難しいですね。
どっちを時計の上側にするかで変わってしまいます。笑
南極点からみると360度全ての方位が「北」になるので…

りさ:えーーーーーーっ!!!!!!
おもしろい!ワクワクする!

ひさし:南アフリカから、南に行ったとこ、と考えるといいかも

りさ:えええ 話逸れますが、じゃぁ南極で冒険に出るときは、コンパスは用をなさないってことですか?

ひさし:僕らがいたところは磁極点からは離れてたので、コンパス使えば東西も南北もわかりますよ。
実際は使ってないですが笑

ひさし:ちなみに話それますが、磁石がさす南極点と、自転軸の南極点はずれてます。

りさ:どゆこと?なんにもわからない!

ひさし:くるくる自転する中心の自転軸の位置(地理的な北極と南極) 磁石がさす中心の N極とS極の位置(磁極)

りさ:おお。(わかってない)

ひさし:こっちにしよう。
右側の絵。 地球の磁場は、地球の中身の「外核」という部分の対流によってできてるのです。
地球の内側の流れが作るのが磁場。
その流れは、僕らが乗ってる表面のくるくるの自転とは違う動きをしている。

りさ:、、、、、。(わかってない)

ひさし:テーブルの上でグルグル回る、鹿児島のそうめん流しみたいな感じですかね。

りさ:・・・。(わからない)

ひさし:内側の水とかそうめんはじゃんじゃんくるくる流れてるけど、それをかこんでるテーブルの部分は動かない。

りさ:おお。わかってきた。

ひさし:そうめんとか水に当たる部分が「外核」なんですが、これが動きまくって磁場を作る。 それでできた磁場の中心が「磁極」です。
磁極の方は、液体金属の流れによってできる磁場だから不安定で、ちょっとずつ動いてるんです。
でも自転軸はずっと動かない。
そういう違いがあります。

りさ:磁極はずっと一定方向にずれていってるんですか?

ひさし:いえ、フラフラしてます。

りさ:おもしろい!
ん??
これ、なんの話だったっけ。
あぁ、石!
石。
石。

ひさし:そう、石をとってくる話。
僕らがいたのは、昭和基地から600kmくらい離れたセール・ロンダーネ山地、というところです。
600kmっていうと、鹿児島-京都間くらい。

りさだいぶ遠い。 移動は何でする?
飛行機とか飛べるの?滑走路ないのに。

ひさし:タロジロの南極物語の時代は犬ぞりだったのですが、今はスノーモービルです。

りさ:えええ!
鹿児島ー京都をスノーモービルで?

ひさし:スノーモービルでいくのは大変なので、飛びます!

りさ:飛ぶ!

ひさし:滑走路、あるんですよー!
南アフリカからジェット機で飛んで、最初は南極のロシア隊の基地、ノボラザレフスカヤ基地に降りました。
その基地からこの飛行機に乗り込んでもう一回飛んで、セール・ロンダーネ山地に向かいました。

りさ:えー!!人間すごい!
わたし、南極いったことないんですが、南極って四季あるの?

ひさし:あります!
結構寒い、寒い、結構寒い、すげー寒い、という春夏秋冬が。
白夜と極夜、もありますよ。

りさ:すごい!
極夜ってずっと夜ってことですか?

ひさし:そうです! 秋から春にかけて、日が昇らない日が続くんです。
逆に夏の間は日が沈まない。

りさ:えーーー!
日本が夏の時、南極も夏?反対?

ひさし:南半球なので、反対です! こっちが夏のときはあっちは冬。

りさ:へー!
南極、ロマンの塊ですね。
(全然 石の話にたどり着かない)

ひさし:そう、石。
セールロンダーネについたら、ベルギー隊の基地にお世話になり、スノーモービルで石を取りに出発です。

りさ:ワクワク。

ひさし:で、調査範囲が結構広くて。
鹿児島を起点にすると、宮崎、熊本あたりまで調査する感じ。

りさ:えええ!

ひさし:なので、

ひさし:基本、キャンプなのです。

りさ:「毎日」たのしかった?
泣きたい日とか、帰りたい日もありました?

ひさし:もちろん…そんな瞬間もありました(泣)
それはやっぱりめちゃくちゃ寒くて。

りさ:ありますよね。 私も海外に一人で8年いたんですよ。

ひさし:ああ、そうですよね。
一人で8年、、それはしんどい。
僕らは5人居たので、まだマシですよ。

りさ:時々、家族と離れてここで何やってるんだっけ〜って思うこととか、今死んだら(自殺じゃなくて)誰がどうしてくれるのかなとかw

ひさし:しんどい時ってそういうの考えますよね。

りさ:はい。
基本ポジティブなので、ご飯食べたら忘れますけどね、そんなこと(笑)

ひさし:僕は博士課程のときが特にそんな感じの泥沼でした…
その頃は、筋トレでごまかしてました!(笑)

りさ:振り返ると宝ですけどね。そういう時期こそが。

ひさし:本当にそうです。
あの時、ひとりで自分を追い込み続けた充実感を超えることはまだないです。
あの時に戻りたい、とすら思うこともあります。実際もどったらめっちゃしんどいけど。

りさ:泣けてくるね。

ひさし:ほんとに。
で、それを乗り越えてこその南極です。

りさ:石の話は、、、、もう、いいかw(違)

ひさし:いいっしょ!(違)

りさ:(笑)

ひさし:マイナス20度くらいをフラフラしてるような気温の中にずーっといるので、最初はそれが辛かったんです。
手袋を外すと、寒いを通り越してまず痛い。

りさ:私一度、マイナス30度の町(瀋陽市@中国)に住んだことあって。

ひさし:おお!
鼻毛凍るやつですね。

りさ:そうそう!
鼻が凍らないようにマスクすると、自分の息でまつ毛が凍って、上のまつ毛と下のまつ毛がくっついて目が開かなくなるやつ。
でも、私は暖かいマンションに住んでたからキャンプですごしたひさしさんの暮らしとは全然違うね。

ひさし:いや〜、そっちの方がきついんじゃないですか?
家があったかいから、外にでると温度差50度とかになるでしょ

りさ:ううん。きつくないです。

ひさし:まじすか!

りさ:体が芯まで冷えるほどの距離を移動しないというか。
部屋にいるときはTシャツでいいくらいあったかくて、その状態で完全防備して外に出るから、体が冷えるスピードよりも体がさらにあったまるスピードの方が早くて。

ひさし:なるほど。

りさ:体の芯はずっとあったかいままなので、道端でアイス売ってるんですが、それ食べたくなるくらい幸せな環境です。

ひさし:まじか(笑)
僕はずっとその気温だったので、最初は泣きたいくらいでしたが、しばらくしたら慣れてきて。

りさ:慣れる!
人間ってすごい。

ひさし:マイナス5度とか寝てらんないくらい暑い(笑)
寝袋の性能が良すぎるからなんですけどね。

りさ:すごいなぁ〜!
ねぇ、その寝袋って洗えるんですか?

ひさし:日本だったら洗えるでしょうねえ。
ただ僕らがいたところは氷点下なんで、、、

りさ:ロックですねぇ(笑)

ひさし:洗ったら凍るだけです(笑)
靴下があまりに臭いから洗ってテントの中で干してたら、剣のようにまっすぐに凍りました。

りさ:あぁ、臭くなるんですね、やはり。

ひさし:靴を脱ぐとね、何か目に刺激がくるんですよ。
臭いの向こう側です。

りさ:「実は南極では菌が発生しないので、臭くならないんです」みたいな返事を期待してましたwww

ひさし:その辺にはいないんでしょうけど、僕らの体には常在菌がたくさんすんでますからね。
10キロくらいの荷物を背負って毎日山に登ってたんで、汗もかくし。
そう、石を取りに!!

りさ:石!
今度こそ、石の話を聞きます。

ひさし:山頂から石をとって持って帰って、成分を分析して、その山がいつから「日焼け」してたかを調べる、というのが僕がいたチームのミッションです。

りさ:日焼け??
どゆこと?

ひさし:南極の端っこの方の断面図です。
僕らテント張ってたり、やまに登って石とってるのわかります?

りさ:真ん中の△がテント?

ひさし:そうです!
僕ら普段生きてて、春から夏になると暑くなって半袖になりますよね。すると日焼けを始める。
日焼けってメラニン色素が溜まって肌が黒くなってくことですよね。

りさ:うんうん。

ひさし:長い時間日に当たってたら、それだけメラニン色素が増えて、それだけ黒くなる。

りさ:うんうん。

ひさし:でも、冬の間には長袖で保護するから日焼けしません。
代謝によってまた春には白い肌にもどる。

りさ:石も?

ひさし:そう! 似てるんです。
石は生き物じゃないから、メラニン色素はできないですが、 代わりに「ベリリウム」という物質ができます。
化学の時間に習った、「すいへーりーべ、ぼくのふね、、」というの覚えてますか?

りさ:覚えてる。

ひさし:すいへーりーべ、の「べ」です。
ベリリウム。

りさ:おーーーー!

ひさし:「銀河宇宙線」というかっこいい名前の光(紫外線の強いやつ)が石に当たると、ときどきベリリウムができるらしいのです。
肌は太陽光線の日焼けでメラニン色素。 石は銀河宇宙線の日焼けでベリリウム。
肌は、冬の間に代謝で色白リセットされますが、 石でも似たことが起こります。

りさ:へー!

ひさし:あまりきちんとは知られてないことかもですが、地球はほっといてもあったかくなったり寒くなったり、を繰り返してます。
氷河期って言葉をきいたことあるとおもいますが、そういうやつです。
2万年〜10万年の周期で、暖かくなったり寒くなったりを繰り返してきてるんです。

りさ:なんとな〜く イメージできます。

ひさし:今はそのリズムでいうと暖かい時期です。
最近だと2万年前とかは寒かったんですが、リズムにのって暖かくなったというのが現代。

りさ:海の高さが違いますね。

ひさし:それと、氷の厚みも違います。
この絵の上の方。寒かったときは、左側のやまが氷に隠れてますよね。

りさ:はい。
なんか、温暖化の話っぽくなってきた。
おじさんたちが言ってるじゃないですか。 地球が温暖化してるのは 別に人のせいじゃないって。

ひさし:おお、それに関しては次回お話ししますね!
めっちゃ人のせいですから!(笑)

りさ:そこを聞きたい!
楽しみです

((続く))


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