オランダ・サーキュラーエコノミー ツアーレポート#001 「アムステルダムの政策」と「水辺」
(レポート:川畠康文)
先日、「サーキュラーエコノミー実践」の著者である安居昭博さんによるオランダでのサーキュラーエコノミー研修を一番の目的として、オランダに行ってきましたので、そのツアーレポートを書いていきたいと思います。
まず初めに「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」とは何かの解説。
上の図は一番左が「リニアエコノミー」こちらは原材料→製造→使用→廃棄という流れの従来型です。いわゆる使い捨て。そして真ん中が「リユース・エコノミー」こちらは使われた後に全て廃棄するのではなく、一部がまた再利用されるという仕組み。日本ではこちらが主流になってきていますが、最初からリサイクル、リユースを想定して製造されたものではなく、廃棄の時になって何かに使えないか検討することが多いとおもいます。
そして一番右が「サーキュラ―エコノミー」こちらは商品開発の段階から資源を循環させていくという設計のもと、構築されていく社会なのです。重要なのは企画、デザインの段階から、廃棄させない、若しくは廃棄の在り方まで含めた循環社会へのアプローチをつくっていくということです。
オランダは基本的に資源の乏しい国です。そのなかでアムステルダム市は2050年までに「100%サーキュラーエコノミー」を実現すると宣言しました。日本のようにCSRの一貫でエコを推進していく考えとは全く異なり、サーキュラ―エコノミーを「経済の主軸」に置いたのです。つまりそれが生活の一部でもあり、自分達の生きる、稼ぐ、骨格にしていくということ。
また、EUが2019年に発表した成長戦略「欧州グリーン・ディール」において「サーキュラーエコノミー」への移行を中核的な政策目標と位置付けています。EU全体として、アメリカや中国等の大国とは明らかに違う成長戦略をつくり、未来を見据えた政策に取り組んでいるのです。
そして、アムステルダム市はケイト・ラワース氏が提唱する「ドーナツ経済」を採用することを発表。これは経済成長に環境的上限を設け、環境に負荷をかけ続ける経済成長を目的とするのではなく、繁栄を目指すとしたのです。外に拡がっていくのではなく、「サーキュラーエコノミー」のもと社会的土台を満たしながら、幸福度の高い暮らしを追求していくという考え方はとても共感できます。
もはやGNPでは国の豊かさを測れない世界になってきています。EUやオランダの国をみていると、資源が少ないからこそ、それぞれの国として独自にどのように幸福度を高め、世界との関係性や、未来を創造していく政策に取り組んでいます。そして、オランダを旅をしていると旅行者である私達にさえそのビジョンをいたるところで体感できました。EU諸国に比べれば、日本はまだまだ資源のある国だと思いますし、幸福度の高い未来をつくるために私達が学ぶべきことは多いはずです。
さて、前置きはこの辺にして簡単にオランダレポート。
今回は「水辺」に注目。ご存知のように、オランダは海抜が低い運河の街。とにかく水辺との距離が近く、使いこなしているのを感じました。
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