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検索キーワードに含まれる感情を読み解く方法と限界

記事コンテンツを検索で流通させたい場合、ある程度、顕在化されたニーズである必要があります。
ニーズとして顕在化されていなければキーワードになりにくく、キーワードが無ければ検索での流通は基本的には難しいです。

検索キーワードについては、SEOの仕事をしていると毎日のように触れ合うことになります。
そこから色々と想像したり、実際に検索して考える、という事が多いです。

何でこのキーワードでこういうページが上位表示しているのかな?
このキーワードで検索したのは何故だろう?
このキーワードで検索しなきゃいけないタイミングはいつ?

こんな事を考えつつ検索して検索結果と多く向き合う、というのがSEOにおけるトレーニングの基本だと考えています。
検索結果はナマモノなので時間とともに変わったりしますけれどもね。

ただ、色々なキーワードを見ていると気になることも出てきます。
そのキーワードが、どこから発生したのか?
そのキーワードに含まれる感情みたいなものはどういうものなのか?
そのキーワードに人間らしさって含まれてないか?

検索結果から背景を想像するよりも1歩踏み込んで、検索キーワードから人間の感情を想像できないかな?というアプローチです。

もちろん、色々な人が色々な理由で検索するとは思いますが、検索結果からボンヤリとでも人間が見えそうであれば、それはコミュニケーションのヒントになりそうです。

一応、ある程度までニーズや必要なトピックを見つけ出すことは可能です。
その辺りの方法と考え方、限界について解説しました。

PEST+Googleトレンドから発生したキーワードから背景を想像してみる

2020年から始まったコロナ禍で、今までの生活が一気に変化しました。
こういった外部環境の変化は現在から将来にかけての生活や感情に影響を与えます。
このPESTと、外部要因をセットで考えてみます。

ベタですが「オンライン」というキーワードは一気に使われるようになりました。
オンライン英会話
オンライン診療

などなど

これらは、もともとニーズとしては存在していましたが、世の中の情勢と合わせてより多く求められるようになってきました。

他には、
オンラインフィットネス
オンライン飲み会
オンラインミーティング

が流行ったりしました。

オンラインという言葉は含まれていませんが、ソロキャンプゴルフのニーズも増えました。

これらの背景にあるのは人との接触を避けたい、というニーズです。
1人、少人数といったニーズを満たせるサービスが求められている、とも言えそうです。

これらのキーワードで実際に検索してみると、どういったページが上位表示しているか?が把握できます。

試しに「オンラインフィットネス」で検索して検索ニーズを把握してみた

比較系の記事が多くあり、一部、事業者も入ってきていますが、まだ1位に出るほどではありません。

オンラインフィットネス検索結果(2022年7月9日)

どれが良いのか分からない
メリットは多そうだけれどもデメリットって何かあるかな?
相場ってどれくらい?
必要な設備は?
利用可能時間帯
サービス内容
マンションでもOK?
無料のとかないのかな?

などなど、上位表示しているページの傾向は把握できるかな、と思います。

検索結果上部はニュースタブが一番左にあります。
検索キーワードによってタブの並び順は変わるのですが、ニュースが一番ニーズがあるのでしょうか。
まだ新しいサービスなので、新情報が求められていそうです。
ニュースタブを開くとPRタイムスが並んでいました。
オンラインフィットネスサービスのキャンペーンについての情報が多くありました。

画像検索タブはオンラインフィットネスの様子、というよりは、記事で使われているキャッチの画像が多数使われている様子です。
一部事業者名がタブも並んでいました。

動画タブには、オンラインフィットネスサービスの紹介動画が上位に出ています。

ショッピングタブには、自宅で使用可能なギアやウェアなどが掲載されていました。

まだ有用な動画が少ないからなのか、意外と動画で比較したり体験してみた系の情報は出ていない様子です。

記事コンテンツが最も読まれそうですが、今後の事を考えると動画コンテンツも伸びしろがありそうです。

もし、「オンラインフィットネス」でコンテンツマーケティングを展開するなら?

記事コンテンツに入れるトピックとしては
用語説明
メリット・デメリット
設備
無料サービスについて
相場
各サービスの紹介と概要

あたりでしょうか。

その他、入れられそうな要素や、深掘りできそうなトピックがあればちょっとした差別化要素になります。

サジェストも同時に見ておきましょう。

オンラインフィットネスサジェスト(2022年7月9日)

特筆すべきなのは「続かない」でしょうか。
この手のサービスで利用者が気になる要素の1つが続けられるかどうか?です。

実際に検索してみると
続ける方法
続かない原因
モチベーションが上がらない
ジムが続かなくてもオンラインなら大丈夫

といった情報が並んでいます。

継続利用に関する情報も記事中にちょっと入れておくと良さそうです。

更にPEST要素も入れ込んでおきましょう。
先ほど「1人、少人数といったニーズ」と記載しました。
オンラインフィットネスなので、当然家で1人でできます。
パーソナルオンラインフィットネス、というのもあるらしく、1人のためにトレーナーが遠隔でサポートしてくれるのでしょう。

人の目を気にせずに、という当たり前の訴求ではありますが、意外と気づいていない人もいるかも知れませんので文章化しておいた方が良いでしょう。

検索結果から調べて記事化するための情報集めは意外と簡単

文章にすると長く感じますが、実際に調べている時間は20分程度です。
こたつ記事という言葉が流行りましたが、このまま僕がそれっぽく記事化すると、こたつ記事が完成します。

1つ1つのトピックのためにファクトチェックをしたり取材をしたり、一次情報を掲載したりする場合は、コンテンツ化する難易度は一気に上がります。
情報のオリジナリティを担保する、という意味ではコストはかかりますが差別化要因になりますし、引用や言及を生み出すことも可能です。

特に今回のようにニューストピックが取り上げられているジャンルは、一次情報や取材型のコンテンツは引用や言及されやすいです。

この方法、何か薄っぺらく感じませんか?

ここまでの記事を書くために、あえて「オンラインのみ」で得られた情報からニーズを予測し得られた情報を組み立ててみました。
取材とかインタビューをしなくても記事コンテンツを作成可能です。

この方法は何年も続けているのですけれども、ちょっと違和感を感じています。
この方法で事足りることもありますが、そこから先の発展性がないな、という行き詰まり感があります。

想像できるニーズやトピックをどう表現するか?くらいの差別化しかできないので、模倣の連続になってしまいます。
大量生産大量消費のレールに載せられた場合は大きな売上を作ることもできますが、長期的に見ると価値は目減りしやすいです。

人の感情にもう少し寄り添えないだろうか?

先ほどのニーズの例ですが、「1人、少人数といったニーズ」
というニーズには抑圧された欲求を押し殺した結果でもあると感じています。

具体的には「1人、少人数」というのは「コロナだから仕方なく」ではないのか?とも思うのです。
本当は大人数でワイワイやりたいけれども、感染したら迷惑かけるし、周りの目も気になるからオンラインとか少人数でできるサービス探すか、という感情もあるのではないでしょうか?

実際、これに近いテーマでユーザーインタビューを実施した事があるのですが、最初は皆さん「1人とか変な人付き合いが減って楽になった」と答えていました。
ただ、色々とお話して打ち解けてくると「人との距離感とか気にせず、今までみたいに楽しみたい」という意見も出てきます。

もちろん、コロナ禍関係なく「1人や少人数が快適だった」という方もいるでしょう。
サービスによっては、むしろ少人数にして欲しかったものもあるでしょう。

でも、仕方なく1人や少人数を受けてれている方もいます。
このインタビューに関しては、定量調査にかけていないので、具体的な数値に落とし込むところまでやれていません。
ここも数値化した際はまた改めて記事化していきたいな、と思っています。

キーワードに現れていないニーズに気づくか気づかないか?は大きな差になりそうです。

気づいているところは「オフラインのサービスをオンラインで!」という訴求ではなく「オンラインならではの楽しさ」を訴求する切り口を見せていきそうです。

実際、オンラインフィットネスで大成功したPELOTONは、オンラインフィットネスをオフラインの延長線ではないビジネスモデルにしています。

価値観の変容もコミュニケーションの中で同時に生み出し、ユーザーの態度変容を促す可能性を高めていっているのではないでしょうか。

時間とコストが許すなら可能な限りオフラインのリサーチにも投資する

検索結果やオンラインのみで伸び悩みを感じている方がいらっしゃいましたら、是非ともオフラインに目を向けてみて欲しいと感じます。

オンラインのみの調査でも十分投資対効果が得られる状況は作れますが、そこで得られた利益の再投資先としてオフラインリサーチへの投資はオススメです。

オンラインのデータやログは、オフラインでのユーザーの活動から生み出されたモノです。
オフラインで何かしら影響を受けて感情が動いたからオンラインでの行動に繋がっています。

行動や感情の源泉であるオフライン、1人の人間を理解しようとすることは、オンラインコミュニケーションの大きな武器になると感じています。

本当の意味での人間理解をデジタルマーケティングと融合することが次の主戦場になる

このnoteをいつもシェアしたり読んでくれている方を見ていると、めちゃめちゃSEOの玄人だったり、業界歴が長かったり、と全体的にトップクラスの方が多い印象です。
いつも、ありがとうございます!

だからこそ、今回のようなテーマを投げかけてみました。

出発点が人間の徹底的な理解にあれば、ユーザーの態度変容も起こせるようになり、施策の成功の確率も上がるように感じています。

アイデア勝負ではなく、顧客理解から生み出されたコミュニケーションができてこそ、事業の勝率も上がります。

デジタルマーケティングという武器を持つ僕らだからこそ、できる価値提供を突き詰めて、次の主戦場を切磋琢磨して盛り上げていきたいと思っています。


【お知らせ】
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