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「ばいばい」と「またね」

久しぶりに「ばいばい」と言った。

さっき、付き合っていた彼女が泣きながら家を出て行った。その背中に向かって、「ばいばい」と言った。

僕は普段、別れ際の挨拶に「ばいばい」は使わない。
その人との関係が終わる時にだけ使うようにしているから。

もう二度と会わないであろう別れというのは時々やってくる。付き合いが終わる時、引越し、卒業などなど。マッチングアプリで会って、不合格だった時とかも"その時"だと思う。

駅で手を振る時も
電話を切る手前も
次があると思う人には
「ばいばい」は使わない。


そもそも人との別れというのは、「死」と似た関係にあると思う。「写真撮ってくれませんか?」そう言って一瞬仲良くなった人も、別れたら最後。二度と会うことはない。それは、その相手が死んで二度と会えなくなるのと少しだけ似ている気がする。僕はそんな想いも考えながら人と別れる。だから、逆に「ばいばい」と言われた時は少しだけ、勝手に悲しくなる。

また当たり前のように、どうせ明日も会う人には「またなー」とか「気をつけてなー」と、そんな軽い別れ方をする。次も会えることを心の中で願いながら。

「ばいばい」のオススメの言い方は、いかに悪魔的に、サイコパス的に言えるかだと思う。表情は自然に、笑顔も少々。そして綺麗に手を振りながら、一言だけ

「ばいばい」

と言う。これで全てが終わる。


駅で「バイバイ」と笑顔で手を振り合うカップルがいた。幸せそうだった。
「悪く無いかも」と思った。結局何がいいんだろうね。
まだ僕は、何も分かっていない。なんにも、分かってない。
分かりたくない。

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