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Social Emotional Learning(SEL) の基本コンセプト #2 「目を使って考える」とは?

こんにちは!ソーシャルエモーショナルラーニングを日本に広めたくてこのnoteを書いているChisakiです。

SELの10個のメインコンセプトシリーズ、第2回です。今日のトピックは"Thinking with your eyes"「目を使って考える」です。目を使って考える?どういうこと…?実は、私たち大人が子どもたちに向けてよく使うあの言葉と関係があるんです。

*Socialthinking社のウェビナー "Thinking with Your Eyes #2 in Our Series of 10 Core Concepts"をベースに、私の見解も交えて解説します。

「人の話をよく聞きなさい」

集中して話を聞きなさい、ってよく言いますよね。そして、「話している人のほうを見ながら聞きましょう」ともよく言いますよね。

実際、自分が話している時に聞き手がこっちを見ていたら「あぁ、ちゃんと聞いてくれてる」と思うし、そっぽ向かれたら「あ、聞いてない」と悲しくなります。「話し手を見る」というのは話を聞く際の大切なポイントです。

ただし、話し手のほうを見ているからと言ってきちんと話を理解して聞けている、とは限りません。ただ単に「見ている」だけのこともあります。もしくは「聞いて」はいるけど頭には入っていない、そのことについて考えていない、ということも多々あります。

私たちが「人の話をよく聞きなさい」と言うとき、それは「話を聞く」という行為そのもののことを言っているのではなくて、「話を聞いて理解する」ところまでのことを意味しているのです。

きちんと「話を聞ける」ことは、れっきとしたスキルである

では、話し手のほうを見ていてもきちんと話を聞けないのはなぜか。

それは脳の働きと関連しています。私たちの周りにはものすごくたくさんのビジュアル情報があふれていて、何かを見るたび目から大量の情報が入ってきます。それで、多くの場合は脳が自動的に「今、集中すべき情報はこれ!」とフィルタリングして、結果私たちはその瞬間に見るべきものだけに視線と集中力をそそぐことができます。

それが簡単にできる子もいれば、苦手な子もいます。

「人の話を聞いていない」「集中して人の話を聞けない」子は、自分の周りにで起きているたくさんの物事のなかで何に集中すれば良いのかがわかりにくいのです。例えば教室の中で先生が話していて、先生のほうを見なさいと言われてそちらに顔を向けてはいるけど、先生の背後に貼ってあるカレンダーの内容が気になってしまうとか。

だから、きちんと理解しながら話を聞く力をつけるための声かけや練習が役に立つのです。「話を聞く」ことは、誰もが簡単にできることではなくて、「スキル」です。

「目を使って考える」ことがソーシャルスキルにつながる

きちんと話を聞くのが苦手な子に向けて、効果的な声掛けとして紹介されているのが「目を使って考えよう」です。

誰かが話している
→その人のほうに目を向ける
→その人の話を聞く+その人の表情やジェスチャーなども見る
→その人が何を伝えようとしているのかを考える

という形で「話を聞く」と「目を使う」を組み合わせることで、具体的に「人の話をきちんと聞く」方法を短くわかりやすく伝えている声掛けだと思います。

ちなみにこれは人の話を聞く場面だけではなく人と関わる全ての場面で応用できます。前回の記事「気持ちって何?」で書いたこととも繋がっていますが、人間の行動は「身の回りで起きていることの自分なりの解釈」が形になったものです。なので、きちんと目を使って周りの状況を把握した上で考え、解釈することが、社会の中でうまくやっていくための行動に繋がってくるのです。

人の気持ちと行動のつながり

「人の話を聞く」って、誰でもできることのように思えますが、実はそうじゃないんですよね。私自身今まではそういう発想がなかったので、過去に高校で教えていた時に一辺倒に「話を聞きなさい」「集中しなさい」と繰り返していたことを反省しました。学べば学ぶほど発見があるSELです。

また次回の記事でお会いしましょう!

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