見出し画像

Social Emotional Learning(SEL) の基本コンセプト #1 「気持ち」って何?

前回ご紹介したように、Social Emotional Learningは「自分や他人の感情を理解し、社会でやっていくためのスキルを身につける学習」です。ではそもそも、人間の感情・気持ちとは一体何なのでしょうか?

ソーシャルエモーショナルラーニングの教材をたくさん出版しているアメリカのSocialthinking社のウェビナー'Thoughts & Feelings'をベースに、私自身の見解も交えながら「気持ち」について深堀りしていきます。

気持ちとは、反応

「気持ち」を社会との関わりという視点から見ると、それは「身の回りで起きていることに対する反応」であると言えます。起こっている出来事を認識して、それを自分がどうとらえるのか。それが気持ちです。例えばイチゴを食べて「あー好きだな」と思うとか、サッカーをして「あー楽しいな」と思うとか、そんな感じです。あるいは、友達がどんよりした顔をしている時、「あれ?どうしたのかな?」という気持ちになったりしますよね。

気持ちは行動になる

そういった気持ちは私たちに行動を起こさせます。どんよりした友達を見つける→「どうしたのかな?」→とりあえず声をかける、とか、今はそっとしておく、とか。私たちの行動というのは、心の中にぼや〜っとある、目に見えない「気持ち」が形として表れたものでもあると言えます。そして、形として表れるので、私たちの行動は社会(自分自身や周りの人・もの)に影響を与えます。

私たちの日々の生活はそういう行動の繰り返しなので、気持ちというのはそれだけ大きな影響力を持っているんですよね。だから、自分の気持ちを理解したりきちんとコントロールしたりすることが、社会の中でスムーズに人間関係を築くことにつながります。気持ちの理解やコントロールの方法を学ぶことはSELの中でも大切なトピックです。

一人ひとり違う「気持ち」

当たり前すぎて忘れがちなんですが、人間の気持ち、つまり周りの状況に対する反応というものは、一人ひとり違います。イチゴを見て「好き!」と思う人もいれば、「酸っぱいから嫌い!」と感じる人もいます。

先ほど例に挙げた、友達がどんよりした顔をしている時も同じです。こちらは「何とかしてあげたいから話を聞いてあげたい」と思っても、その友達は「今はそっとしておいてほしい」と思っているかも知れませんよね。それに対して私たちはその友達の表情を観察するとか、過去の経験を思い出してみるとか、いろんな情報をもとにその時どきでベストだと思われる行動をとっていきます。

この「自分が思っていることと他の人が思っていることが同じとは限らない」という事実や、「他の人の気持ち(視点)を考慮して行動すること」を学ぶのもSELです。これらをなんとなくではなくてきちんと言葉にして学び理解し、必要なスキルを練習すること(例えば、こんなシチュエーションではどんな声かけをしたらいい?など)が、子どもにとって人との関係を築いていくための大きな助けになります。

まとめ

今日の記事ではSELのキーワードのひとつである「気持ち」について書きました。

ポイントは

「気持ちと行動はつながっていて、自分の気持ちを理解することがスムーズな人間関係のカギになる」

「一人ひとりの気持ちは違っているということを理解し、自分とは違う視点でも考えようとすることは、重要なソーシャルスキルである」


です。

 私の子ども時代を思い出してみると… 私、イチゴが大好きなんですけど、世界中の誰にとっても「好きな食べ物はイチゴ」だと思っていたんです。誰かが「好きな食べ物はバナナです」と言ったとしても、それは「イチゴが1位なのは当たり前だからそれは言わずに、2番目に好きな食べ物がバナナなんだ」と思っていました。いつの間にかその思考は無くなりましたが、ずっとそう思ったまま大人になっていたらどうなっていたんだろう… (笑) まぁこれは極端な例ですが、自分がAだと思うことが他の人にとってはBである、ということを常に頭の片隅に置き、コミュニケーションを図っていくことはとても大切ですよね。

最後に…

「自分とは違う視点を体感」(英語でperspective taking)しながら学べる子ども向け教材はネット上にたくさんあり、学校や家庭で手軽に使うことができます。'perspective taking activities'などで検索すると色々と出てきますので試してみてください。

(例)
Perspective Taking Activities for Kids
Spotlight on perspective taking activities

ここまでお読みいただきありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?