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ベストプラクティスに辿り着く一番効率の良い方法

人はなぜベストプラクティスを求めるのでしょうか?

その心情を考えてみると「無駄なことをしたくない」「ミスしたくない」「余計なコストをかけたくない」「最短の時間で最高の結果を手に入れたい」といったところでしょうか。
先行して誰かが試してくれたのであれば、その経験を元にしてミスなく安全に素早く物事を進めたい。
私もものぐさで我が身可愛い人間なので、気持ちはよくわかります。

ただし、前提として理解しておかなければならないことは、最新技術にベストプラクティスは存在しないということです。
最新技術はまだあまり使われていないので、当たり前といえば当たり前です。
このあたりは、以下の深津 貴之さんのNote記事が参考になります。

ビジネスの競争領域における最新技術を使ったサービスの場合、リリースして世界をどのように変えるのかといったビジョンや、機能や仕様から想像力を働かせて新たな運用を考えていかなければなりません。
過去の経験やスキルが参考にはなりますが、最終的には新しい事象と向き合い考え実行し、チェックと改善を繰り返すしかありません。
それがサービスの独自性につながりますし、広い意味でエンジニアリングの本質なのではないかと思っています。

それに対して、非競争領域においては積極的に他社のベストプラクティスを取り入れていった方が良いでしょう。
具体的には、AWS・Azureなどのパブリッククラウドの管理方法やO365やG Suiteのようなグループウェアの活用方法といった、どの会社にも必要となる要素は広く情報を共有した方が、日本企業全体の競争力向上につながると考えています。

ベストプラクティスを得るには、情報を比較して相対化することが必要です。
まずは情報を入手することが第一歩となるので、その方法をいくつか考えてみましょう。

① ユーザー企業間で定期的に情報共有会を行う。
もっともシンプルに情報の比較が行える方法です。
日本という同一の法律や商習慣のもとで、各社が実際にどのように運用保守をしているかを共有しあえれば、急速に改善が進む可能性があります。
ユーザー企業同士でいきなり情報共有会を開催するのはなかなか難しいのであれば、SIerがハブとなって企業同士をつなげても良いでしょう。

② スペシャリストのセミナーに参加する。
特定の技術を先行した個人にたくさんの知見が集まることはよくあります。
かくいう私も数年前から「運用設計」というキーワードで仕事をしているので、他の人よりも運用に関する知見が集まりやすい状況になりました。
昨今ではスペシャリストによるオンラインセミナーが開催される頻度も増えているので、それらに参加して情報を仕入れるのも良いでしょう。

③ 外部の勉強会などに参加する。
ITエンジニアという職種自体が大きな職業組合(ギルド)のような側面があります。
少し探せば勉強会やブログや動画で、おおむね無料で情報を入手できます。冷静に考えたら、これは驚異的なことだと思います。
外部の勉強会に参加するのに少し勇気がいると思いますが、様々な業種のエンジニアから話が聞けるので一度は飛び込んでみることをお勧めします。


他にも色々な方法があるとは思いますが、最後に一番大切なことはベストプラクティスは万能ではないことを知ることです
企業の前提条件は違うので、多かれ少なかれチューニングは必要です。
運用中に新しい情報を仕入れて、試行錯誤をしながらシステムを使いやすくしていく。
そしてその体験を情報として誰かに共有することが、少しずつですが確実に世界を良くしていきます。
おそらくこれが唯一の、ベストプラクティスに辿り着く一番効率の良い方法でしょう。


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