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2025年の崖? DXレポートを運用目線で読み解く②

まずはここから5年間、何もせずに放置したら日本のITシステムはどのようになるのかを理解しましょう。
DXレポートの中では、2025年の崖と表現されている問題があります。


ざっくり簡単に説明すると、2025年の崖とは IT システムの高齢化です。
ちなみに、2025年は「団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる」という超高齢化社会の始まりとされる2025年問題とも重なります。

このまま何の対策も打たずに2025年を迎えると、日本の基幹系システム(業務の中核に関わる重要なシステム)の六割が古い技術を使って構築されたものになります。

具体的に説明すると、中身をほとんど変えずにハードウェアだけ交換(リプレース)を重ねた基幹系システムが六割になるということです。

これを強引にゲーム機で例えると、2025年にドリームキャストやPS2、ゲームキューブで遊んでいるという状態になります。(こう書くと、それはそれで楽しそうですが。。。)
携帯電話に例えると、2025年にこんな感じの携帯電話を使っているイメージ。

20200502_携帯電話

企業に行ったアンケートでも、八割の企業が老朽システムを抱えていると回答しています。

20200502_老朽システム


老朽システムは、古い技術を使っています。
古い技術がわかるエンジニアは高齢なので、定年退職などでどんどん減っていきます。
若いエンジニアが古い技術を習得すればよいのですが、今後展開する技術ではないので、あまり魅力がありません。
今の時代にCOBOLでソフトウェアをメンテナンスして、汎用機にJCLを流し込みたいと夢見る若者はほとんどいないでしょう。
そのため、対応できるエンジニアは減っていきます。
出来る人がいないので、出来る人のコストは高騰します。

また、老朽システムの機能や細かい仕様を把握している人も定年退職などで現場からいなくなってきています。
ドキュメントなども残っていないので、誰もシステムのことがわからなくなります。
システム改修をして不具合が発生するのを恐れ、システムはできるだけ延命されていきます。
そしてその間に、さらにシステムのことを詳しく知っている人がいなくなります。
こうして誰も手出しができない、アンタッチャブルなシステムが日本に急増していくのです。


DXレポートでは、2025年の崖を以下の3つにまとめています。

① 既存システムの老朽化、複雑化、ブラックボックス化によって、新しいデジタル技術を導入してもデータの利活用・連携が限定的になり効果も限定的になる。

② 既存システムの維持・保守に資金や人材を割かれ、ますます維持・保守コストが高騰し、技術的負債の増大が発生する。

③ 既存システムを維持・保守できる人材が枯渇し、セキュリティ上のリスクも高まる

もう使われなくなる技術による作業に時間を取られ、新しい技術を現場で学ぶことができない。これを技術的負債と呼びます。
老朽システムと技術的負債を解消しないまま、2025~2030年の5年間で60兆円(年間12兆!)の経済損失が生じるとのことです。

ただでさえコロナでダメージを受けているのに、デジタル競争で世界に敗北して日本はIT後進国になってしまう恐れがあります。
この現状と未来をまとめた図が、DXレポートの中にあります。

20200502_2025年の崖


2025年の崖に対して、運用という側面からはどんなアプローチができるのか? 
次回はそのあたりを読み解いていきたいと思います。



ちなみに、DXレポートをさらに詳しく理解したい人には「IT負債」がオススメです。


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