MLBへの供給元

 去る1月3日、プロ野球界にショッキングなニュースが走った。SoftBankホークスでプレーしていたオスカー・コラス外野手がメジャー挑戦を目指し、自国キューバを亡命したそうだ。
キューバからMLBへの移籍は18年に日本ごと同様のポスティングシステムの導入が合意されたが、米政府によって却下され実現しなかった、という経緯がある。それを受けての亡命であろう。
 しかしここで問題なのはそこではなくSoftBankサイドが今季もNPBでプレーするものだと思っていた事だ。つまりは事前にもしかしたらもしかするかもしれないレベルの情報すらも持ち合わせていなかった事になる。
 コラス選手は2017年に育成選手としてSoftBankに入団。当初は投手と外野手の二刀流で『キューバの大谷』と呼ばれていたが、18年から野手に専念し、昨年6月に支配下登録され、対ライオンズ戦でいきなり初打席初球本塁打、という鮮烈なデビューを飾った。当然今季更なる飛躍が見込まれていた。がその矢先の出来事だった。
 SoftBankの育成選手には千賀投手や甲斐捕手など現在一軍の中心として活躍している人が数人おり、そのスカウト力、育成力が他球団からも羨ましがられている位だ。その出身から球団の頭を飛び越えてMLBへの移籍を求める事態は、これは単なる一選手の行為に収まらず、今後場合によってはNPBの育成機関がメジャーリーグへの人材の供給源になりうる可能性があるという事だ。SoftBank一球団ではなく、NPB全体で考えなくてはならない問題だ。

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