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試作の効果はバツグン!

3Dプリンターを導入したことによって、私の頭の中にあったものが、紙面、デジタル図面を経て、ついに実体を持つにいたった。

プリントを始めた当初は、図1のようにフィラメントがうまく固まっていない箇所があるなど不恰好なところは多々あったのだが、そんな不完全さも含めて試作たちには愛着があった。前回紹介した犬の人形とは違い、なにせ私が書いたものが形になったのだ。

図1:プリンターになれるまでは不恰好なものも多かった

アイデアが実体を持ったことで、私自身のモチベーションが上がるということ以外に明らかなメリットが下記の2点あった。

  1. 実際の使い勝手が確かめられる

  2. 人と共有できる。

まず「1. 実際の使い勝手が確かめられる」については、サイズが持ちやすいものかどうか、蓋の開閉は片手でできるのか、角は痛くないかというのがわかるということだ。当たり前じゃないか!という声もあろうが、実体験すると試作の意義が本当に身に沁みた。実際の想定寸法を元に設計はされているのは当然なのだが、手に持ってみると紙面上でみるよりコンパクトに感じたり、あるいは大きすぎて手に持った状態で指が届かず蓋の開閉がやりにくい、というようなところが見えてくる。ポケットに試しに入れてみると角が当たって痛いな、というのもあった。

図2:サイズを色々とかえ、扱いやすさを試行錯誤した

次に「2. 人と共有できる」というのは、試作がなかった時に比べて、私がやりたかった事が私以外の人に伝わるようになり、ユーザー目線で使い勝手についてフィードバックをもらえるようになった点である。
試作がなく、図面やプレゼンで「こんな事やりたいんだ」と説明をしても、往々にして「へぇー」「いいじゃん」と曖昧な反応しか得られなかった。ところが実体の試作品を渡すと、「こういうのだったら使いたいかも」「手ぶらで外に出たいから、このくらいのサイズでも邪魔かな」「中に入れるなら練り香水じゃなくてリップバームがいいな」などなど、現実の観点でフィードバックをもらえたのである。
特に、人によって開け方が何通りもある、というのがわかったのは大きかった。私は左手(利き手ではない方の手)に持って左手の親指で開閉するのが自然だったので、設計もそのようにしていた。ところが知人に試作品を渡してみると、右利きの人でも利き手で扱おうとする人、逆の手で扱おうとする人、親指で、人差し指で、あるいは両手で開ける人がいた。そもそも開け方がわからない、という人もいた。ユーザーが何も考えずに使い方がわかるような、そんなデザインを考えなければいけないな、、という意識になったのは大きな収穫であった。

図3:大事な試作第1号


3Dプリンターによる試作は、自分が当たり前に思っていたことを客観的に試す事が安価に、そして何度もクイックに実行でき本当に有効な手段である。

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