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アニメ「ガールズバンドクライ」厳しめの感想

<追記:5話までの感想です>
女子がバンドやるアニメ流行ってますよね。
「けいおん」から始まって、「ぼっち・ざ・ろっく!」「Bang Dream!」に続き、2024年5月現在「ガールズバンドクライ」が放映中です。
なぜかというと、曲も売れてビジネス的に美味しいというのがあると思います。

「けいおん」は、「女子が男子っぽい趣味をやる」の先駆けで、後に続く同系統の雛形になったし、「日常系」でもあって、尚且つ山田尚子監督&吉田玲子脚本というかつての京アニ黄金タッグということもあり、楽しめました。

「Bang Dream!」は私は5分で挫折したので放っておくとして、「ぼっち・ざ・ろっく!(以下「ぼざろ」)」は個人的には十年に1度の傑作だと思っているし、実際大ヒットしました。

本日の問題は「ガールズバンドクライ(以下「G.B.C.」)」です。

「ぼざろ」の後発なら演出で超えてほしかった

ダサいんですよね。演出全般が。
「ぼざろ」は演出の素晴らしさが際立っていたのですが、後発なら超えてほしかったです。

「ぼざろ」と「G.B.C.」演奏シーン中の演出比較

3DCGなら実写の演出に近づけるしかなかったのではないかな

「G.B.C.」は3DCGなのに、なぜか製作側は絵的な演出をしたがっています。
でも、合わないんです。
色々と手抜き感がある。
作っている側は頑張っているつもりなのかもしれないけれど、3DCGに絵的な演出は合わないと感じました。

「G.B.C.」の不自然な謎光線、不機嫌を表しているらしい

一方で、「ぼざろ」は手描きです。

「ぼざろ」のワンシーン

このシーン、指が長く描かれています。
一瞬なのですが、指に視聴者の意識を向けさせるデフォルメです。
こういうことができるのが手描きだと思います。
3DCGでやるなら、いわゆる「無気味の谷」に陥るか、えらく大変になるだろうと思います。

デフォルメができない3DCGは実写的な演出で勝負するしかないのではないかな、と思います。
そして3DCGはディズニー作品ぐらいのクオリティでないと説得力が生まれないと感じます。
なのに「G.B.C.」は同期の3DCG他作品と比べてもキャラの動きがぎこちないのですよ。
なので、キャラの演技もつまらないという残念な結果になっていると思います。
バンドを成り立たせることを優先した声優の採用のせいもあると思います。上手くないと思う人がいるのです。
リンクの記事を読んでもらうと分かるのですが、作監と原画のけろりらさんの個人的な情熱が他のスタッフを巻き込んで生まれた「ぼざろ」と違い、「G.B.C.」は基本、「バンドも売る」ことを前提にマーケティング根拠で作られていることがわかります。

一方ではメンバーを探していく。オーディションを開催しましたが、ただバンドをやるだけではなくて、声優も一所懸命やってもらわないといけないわけで、

玉井健二、『ガールズバンドクライ』の隠れテーマは打倒K-POP? プロジェクトを越えた、世界で勝てるバンドの可能性

ついでに言うと、実写的な陰影の使い方も「ぼざろ」の方が意識して効果的に使っていると思います。

「かわいそう」だけでは共感できない

「G.B.C.」のキャラはかわいそうということになっています。

高校2年、学校を中退して単身東京で大学を目指すことになった主人公。
仲間に裏切られてどうしていいか分からない少女。
両親に捨てられて、大都会で一人バイトで食いつないでいる女の子。
この世界はいつも私たちを裏切るけど。
何一つ思い通りにいかないけど。
でも、私たちは何かを好きでいたいから。
自分の居場所がどこかにあると信じているから。
だから、歌う。

「ガールズバンドクライ」HPより

でもなぜか共感できないんですよね。
そんなに世界が嫌いで憎む必要あるか?と思う。
あなた達が出会った人々は、そんなに悪い人たちばかりだったのか?と思う。
誰の人生にもありそうな挫折や失敗じゃないですか。若いということを差し引いても、そこまで卑屈になる必要ある?と思うわけです。
ぶっちゃけ、社会的に見たら独身社畜貧乏リーマンである私の方がよっぽどかわいそうですよ。
第一、みんな美少女である時点で、この世界においてめちゃくちゃなアドバンテージじゃないですか。
だから全然共感できないんです。
私、萌えとか推しでキャラを一切見ないですし。

あと良くないと思うのは、主人公達の「かわいそうさ」を引き立たせるために、なんでもない周りのキャラが嫌な人たちになったのと、敵キャラまで出さなきゃいけなかったことです。
気持ちよい人は最初出てきた主人公の隣の部屋の夫婦くらいで、ライブハウスの店主とかどこか気持ち悪い。
敵キャラはライバルバンドというだけでなく、主人公をいじめていたなんていう念の入りよう。
そういうのって気持ちよくないんですよ。
「ぼざろ」ってダメな人はいるけれど、悪い人が出てこないのがいいじゃないですか。そういうことだと思うのです。

努力がない

気持ち悪い、共感できない、という背景にあるのが、「ぼざろ」にはあった音楽への努力が描かれないことです。
不満を怒鳴ればロックとか、そんな甘いわけないじゃないですか。
せめて主人公はピアノ習っていたとか、合唱部だったとか設定をうまく入れれば誤魔化せたかもですが、いくらなんでも「かわいそう」だけでそれを乗り切るのは厳しいと思います。

もし私が作るなら

主人公達の「かわいそう」でバンドものを作るなら、いっそのこと主人公をかわいいキャラではなくて、太ったメガネ女子とかにして、バンドもサンボマスターみたいに愛を叫ぶタイプにすればよかったのではないでしょうか。
とにかく「ぼざろ」みたいに、笑いでネガティブを吹き飛ばして、あんなわかりにくい曲じゃなくて、シンプルで力強いものにすればよかったのではないでしょうか。
であれば、ぎこちない3DCGと意味わからない光線みたいな演出も声優の下手くそさも、全てギャグに収束したと思うし、周りのキャラもみんないい人で、サクセスストーリーとして気持ちよい作品になったと思います。

というわけで、「ガールズバンドクライ」の残念な部分のご紹介でした。


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