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What is 私なり/宇田川侑希 Vol.1

実業団チームで主将を務める。
それは簡単なことではありません。

いや、ひょっとしたら、実際はシンプルなのかも。
走って結果を出す。それを自分なりに伝える。
集約すれば、それだけ。
でも、その役割を軽く考えるような人は、
きっとキャプテンには選ばれない
のでしょう。

宇田川侑希選手が、積水化学女子陸上競技部の
キャプテンを任せられたのは、2020年2月。
それから約1年。
チームも社会も、様々な変化がありました。

コロナウイルスの蔓延。TWOLAPSとの協力体制構築、夏合宿と大会再開。プリンセス駅伝優勝。そして、クイーンズ駅伝での準優勝。

積水化学女子陸上部の注目度が
全体的に高まったこの1年は、
宇田川選手にとっても、葛藤を抱えた1年
でした。
一番は「キャプテンなのに
結果を残せないことだった」と彼女は話します。

以前と比べて、できない部分ばかり見ていた

宇田川選手が最初に、キャプテン就任の
話を受けたのは一昨年、2019年夏。
「最初は絶対無理だと思った」そうですが、
様々な人からの助言もあり、引き受けました。
ただ、大きなプレッシャーがあったと言います。

前任者であった森智香子選手が、
理想のキャプテン像だったからです。

「高校の部活の時は女子選手をまとめていましたが、キャプテンをやるのは初めてでした。実業団だと、年齢的に下にも上にも選手がいて、やりづらいのかなという印象もありました。でも、”宇田川のままでいいから”と言ってもらえて、引き受けることにしたんです」

「前のキャプテンが、自分の中では完璧に近いチカコ(森智香子)さんだったのも、すごくハードルが高かったですね。理想と現実のギャップが大きくて、『チカコさんはできたけどやっぱり自分はできない』。そんなところばかり、見てしまっていた自分がいました」。

走れないのにキャプテンという葛藤

そして、彼女にとって一番の葛藤となったのは、
「走れていないのにキャプテン」という
自分の置かれた状況でした。

「2020年の個人のパフォーマンスとしては、怪我がつきものになってしまっていて、いいところまで来ている時に、ケガや故障につながって、重要な記録会を逃すことも多かった。私は、そこが一番引っかかっていました。キャプテンだから走らなければいけない。そういうわけじゃないと、周りからは言ってもらえた。でも、1人の選手としてちゃんと走れて、みんなのことも引っ張っていくのが理想と感じていたんです。それができなくて、すごくもどかしかったです」

「夏前~夏あたりには自分の中で、キャプテンを引き受けたのはいいけど、正直、『引き受けなかったほうが良かったんじゃないかな』と思ったこともありました」。

周囲から優しい言葉をかけられても、
自分の中にある理想と現実の折り合いは、
そんなに簡単につけられるものではありません

ちゃんとチームのことを、選手のことを
考えているからこそ、苦しい。
そんな中で、彼女を救ってくれたのは、
やはり仲間や監督・スタッフとの対話でした。

宇田川なりのキャプテン

自分の中で無理かなと思った時もありましたが、その時に野口監督や横田コーチなどが、”走るだけがキャプテンの仕事じゃない”とチーム作りのことを話してくれました。その時、『今のままでもいいのかな』と思えたんです。走れないのは、すごくモヤモヤする。でも、走る以外にもできることがあって、キャプテンだから言える、伝えられることもある。だから自分も、もっしっかりしなければならないと、良い意味で捉えられました」。

怪我が急に良くなることもありません。
一晩でリーダーシップが身につくわけでもありません。

でも、自分なりの努力ならできる。
等身大で、力の限り頑張る。
そんなヒントを、周りからもらったのです。

言ってもらって心に残っているのが、“宇田川しかできないことがある””宇田川なりのやり方でいいからチームを変えてほしい”と、言ってもらえたことです。私のやり方でいいんだ、と思いました。監督やコーチもそうですが、選手のみんなも口を揃えて言ってくれたので、そう思ってくれていたんだなとすごく感じました」と宇田川選手は言います。

今までのキャプテンをベースにするのではない。
そのままだったら、今までと一緒。
やっぱり私しかできないことを頑張ろう、
そう思えるようになったのです。

「私なり」とは

でも、一般的な会社でも、
よく言ったりしますよね。
「自分なりに頑張れ」とか
「自分にできることをしろ」とか。
これ、だいたい言われた側の本人は、
よくわかっていないケースの方が
多い気がします。

答えは簡単です。
知っている人に聞くか、
自分で見つけるしかないのです。

「でも、”私しかできないこと”ってなんだろうって、自分で思ったんです。それで考えたんですけど、所属選手の年齢を見たら、私はちょうど中間だった。一番年上から一番下の選手までだと、10歳位離れていて幅もある。だから、コミニケーションもなかなか取りづらいんじゃないかと思って。なら、私だったら中間で話しやすいかなと思い、積極的に声掛けなどしていこうと意識して取り組むようになりました。やっぱり話しやすいって言ってもらえると、嬉しいので」

彼女に聞きました。
「じゃあ、今のところの”私なり”は、仲間の身近な存在ということですか」と。

すると宇田川選手は、
「そうですね」と笑顔で答えました。

彼女の見つけた答えは、
これから変わるかもしれません。
でも、それでいいのだと思います。
それが私なりの答えだから。


※次週に続く

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