源の〜、平の〜、北条の…?

 NHKで、新しい大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まりましたが、見ていて気になることがありました。

 劇中で、北条氏の人を「源の〇〇」「平の〇〇」のように「北条の〇〇」と苗字と名前の間に「の」を入れて呼ばれることがあるのですが、これはどうも違うようです。

 当時、父方の血統を表し、一生変わることがなかった姓(本姓)と、家の名前を表した苗字は別概念でした。鎌倉時代頃には、源、平、藤原といった姓を持つ人達が、姓とは別に各家ごとに家の名前、すなわち苗字を持つようになります。「北条」氏で考えると、北条は苗字で、平が姓になります。

 「の」の話に戻ると、名前の前に「の」が入るのは、源、平、藤原といった姓、入らないのは北条などの苗字になります。↓下の記事参照

 したがって、当時の常識に照らし合わせると「北条の〇〇」という呼び方は不自然になります。「の」がつくのは、「平の〇〇」と姓と名前で呼ぶ場合になります。

 鎌倉殿の13人の登場人物である木曽義仲の名前を元に、姓や苗字の違いと「の」の有無について考えてみましょう。

 木曽義仲は、源義仲と表記されることもあります。苗字+名前の木曽義仲と呼ぶ際は、「の」が入りませんが、姓+名前の源義仲と呼ぶ場合は、「の」が入ります。

 昔の人が現代とは異なる名前の仕組みを持っていたことについては、留意しておくべきでしょう。

2022年1月23日加筆
その後の調べで、「の」をつけるという見解もあることがわかりました。この件に関しては、引き続き調べてみようと思います。